【8月19日 AFP】あっせん業者の仲介で中国人男性と結婚し、同国の農村で暮らすベトナム人女性たち。彼女たちの中には、ありえないほどの理想の男性と出会って幸せに暮らしている者もいる。

 トウモロコシ畑に点在する集落からなる臨淇(Linqi)は、中国で比較的貧しいとされる河南省(Henan)の山奥にある。ここで結婚生活を送る数十人のベトナム人女性の一人、グエン・ティ・ハン(Nguyen Thi Hang)さん(30)は「経済的に、中国での生活の方がまし」だと話す。

 ここはベトナムから1700キロも離れているが、拡大する結婚あっせん業の新たな舞台となっている。中国では、人口計画によって生み出された男女比の圧倒的な不均衡により、農村地帯で暮らす男性たちが妻となる女性をなかなか見つけることができず、結婚あっせん業への需要は高まる一方だ。

 麺やコーラ、たばこなどを扱う村の店で、客たちとなんとかコミュニケーションを取ろうと悪戦苦闘しているグエンさんは、昨年11月に臨淇へやって来た。

 むき出しのコンクリートの壁に囲まれた小さな寝室と、にわとり小屋のそばに建てられたくみ取り式の屋外便所という必要最低限の住環境だが、それでもかつてベトナムで住んでいた家よりは良いと彼女は話す。「ベトナムでは質の悪いれんがでできた家に住み、しかもうちは農家だったから、田んぼで厳しい仕事をしなければならなかった」

 臨淇で生まれ育った22歳の男性との結婚はグエンさんの家族がお膳立てし、グエンさんの地元とここ中国で結婚式が行われた。「私の家族にいくらかのお金が支払われたのは知っている。だけどそれについて、わざわざ両親には聞かなかった」という。「親戚たちが中国人の男性と結婚するよう勧めてきたの。彼らは妻の面倒をみてくれるし、働きづめになることもないだろうから、人生を楽しみなさいって」と笑いながらグエンさんは語った。

 夫は建設現場の作業員として働き、1年の大半を村から離れて暮らしており、AFPの取材の際にも留守だった。だが、白髪頭の義理の父は、新しく家族に加わったグエンさんを誇りにしているようだ。「ベトナムの女性は私たちのように、どんな仕事にも取り組むし、一生懸命働くよ。女性が少ないから、ここで嫁を探すのは簡単なことではないんだ」という。