【8月5日 AFP】タイの女性に代理出産を依頼して生まれた男女の双子のうち、ダウン症候群だった男児を引き取らなかったとして非難を浴びているオーストラリア人夫婦が友人を通じ、代理母の話は世間に誤解を与えていると述べ、夫婦から見た経緯を説明した。

 代理母となったタイ人のパタラモン・チャンブア(Pattaramon Chanbua)さんは、男児がダウン症候群だと分かると実の両親は中絶を求め、引き取らなかったとし、現在生後7か月となった男児を自分が育てると主張している。

 しかし、実の両親は氏名を明かしていないが、友人を通じて地元紙バンバリー・メール(Bunbury Mail)に声明を発表し、子どもを引き取らなかったというのは誤解で、男児に先天性心疾患があることは分かっていたが、ダウン症候群であることは知らなかったと述べた。

 ガミー(Gammy)と名付けられた男児について、夫婦の友人は同紙に「ガミーちゃんは生まれたときに非常に健康状態が悪く、夫婦は最長でも1日しか生きないと聞かされたそうだ」と語った。

 また同紙は、双子はタイの大病院で出産される予定だったが、代理母のパタラモンさんが別の施設へ入院したために代理母契約は無効となったと報じている。それにより、夫婦には双子を引き取る法的権利は無くなったが、代理母は最終的に女児の引き渡しに同意したという。

 友人によると「夫婦は、男児を連れて帰れないことに心を痛め、また男児をあきらめたくないとも思ったが、タイにとどまれば女児も引き取れなくなると考えた」という。また夫婦が病院を訪問した際にガミーちゃんを「無視した」というのは事実ではなく、双子の両方に贈り物を持っていったと述べ「ガミーちゃんが生き延びるよう2人は祈っていたが、医師にガミーの病気は重いと言われた。それはダウン症候群ではなく、心肺の感染症だった」と述べた。

 夫婦はそれから2か月間、タイに滞在したが政情不安のため、やむなくガミーちゃんを連れずに帰国したという。(c)AFP