【7月31日 AFP】「天の川銀河(Milky Way)」は、これまで考えられていたよりも「軽い」との研究論文が30日、英国王立天文学会の学会誌「Monthly Notices of the Royal Astronomical Society、(MNRAS)」に発表された。

 英エディンバラ大学(University of Edinburgh)が主導する研究チームによると、今回の研究では、太陽系が存在する天の川銀河の質量を正確に量ることに初めて成功したとしており、天の川銀河に含まれる質量は、同じく渦巻き構造を持つ近傍の銀河、アンドロメダ(Andromeda)銀河(M31)の半分程度であることが分かったという。

 研究を率いたホルヘ・ペナルビア(Jorge Penarrubia)博士は「われわれは常々、アンドロメダ銀河の方が天の川銀河より質量が大きいのではないかと考えてきたが、両方の銀河が同様の質量を持つとするのは極めて困難であることが判明した」と語る。

 アンドロメダ銀河の方に存在する重い分の質量は、銀河の外側の領域の大半を占めているとされる見えない物質「暗黒物質(ダークマター)」によるものと、研究は結論付けている。暗黒物質についてはまだ詳細には理解されていない。

 大きさがあまり変わらない2つの銀河だが、天の川銀河にはアンドロメダ銀河の約半分の暗黒物質しか存在しないと研究チームは推定している。

 天の川銀河とアンドロメダ銀河は、「局部銀河群(Local Group)」として知られている銀河群領域の中で最大規模の銀河だ。

 両方の銀河に存在する物質の90%が見ることのできない物質であるため、科学者らはこれまで、どちらの質量が大きいかを明らかにすることができなかった。

 過去の研究は、銀河の内側領域の質量のみを考慮していたが、今回の最新研究では、外側領域にどのくらいの量の見えない物質が含まれているか算出可能となった。

「われわれの研究は、天の川銀河とアンドロメダ銀河の相対運動に関する最近の観測と、近傍銀河のデータを集めたこれまでで最大のカタログを組み合わせて、これを可能にした」とペナルビア博士は話している。

 今回の成果は、銀河の外側領域がどのような構造になっているかを理解する助けになると研究チームは説明している。

 今回の研究結果は、英ケンブリッジ大学(University of Cambridge)が行った研究による裏付けが得られている。同大は今回の研究のものと異なるデータを使用したが、結果は非常に類似しているという。(c)AFP