【7月31日 AFP】2022年のサッカーW杯カタール大会(2022 World Cup)で使用されるスタジアムの建設作業員は、時給0.76ドル(約78円)の低賃金で働かされていることが分かった。30日、英紙ガーディアン(Guardian)が報じた。

 収容人数4万人のアル・ワクラ・スタジアム(Al-Wakrah Stadium)建設に関わる100人の労働者の中には、1か月で最大30日間の労働を強いられながら、1日あたり4.9ポンド(約850円)しか支払われていない者もいたという。

 同紙は、外国人労働者のパスポートが建設会社側に取り上げられている点でも、労働規定に違反していると伝えている。

 2022年W杯を運営する最高委員会は、「超過勤務手当と時間を計算する必要がある。業者と話し合い、問題点を改善している」としている。

 賃金が1年以上未払いで、衛生管理の行き届いていない環境での生活を強いられている労働者もいるとされるが、30日の報道を受けた委員会側は、カタールを拠点とする中東の衛星テレビ局アルジャジーラ(Al-Jazeera)に対し、「ガーディアン紙が提起した問題を積極的に検証している」と明かしており、「労働規定の違反についての疑惑を真摯(しんし)に受け止める」とした。

 委員会は、「W杯開催地に立候補したときから、労働環境を整えることに尽力し、社会発展の仲介役になろうとしてきた」と語っている。

 カタール大会のインフラ整備には約1340億ポンド(約23兆3000万円)が注ぎ込まれているが、アジア各国をはじめとする国々からの外国人労働者に対する人権侵害も取り沙汰されていた。

 カタール側は、建設作業員が搾取されているという疑惑を一蹴し、対策を講じていると発表してきた。5月には、議論を呼んでいた「スポンサーシップ制度(身元保証人制度)」を廃止することを発表し、雇用者が外国人労働者を意のままに操ることができる従来の仕組みを変えようとしている。(c)AFP