【7月29日 AFP】エボラ出血熱の感染が史上最悪な規模で拡大する中、米疾病対策センター(CDC)は28日、エボラウイルスは山火事のように広がると警告を発し、西アフリカへの渡航者は通常以上の予防策をとるように呼び掛けた。

 エボラ出血熱は、感染すると発熱や関節痛、下痢、嘔吐、致命的な出血などの症状が現れる。CDCによると3月以降の発症例はギニア、リベリア、シエラレオネで1201例に上っており、うち672人が死亡している。リベリアでは、医師と医療従事者の米国人2人も感染した。

 CDC新興感染症・人獣共通感染症センター(Center for Emerging and Zoonotic Infectious DiseasesNCEZID)のスティーブン・モンロー(Stephan Monroe)氏は「今回の流行が西アフリカの外に拡大する可能性は非常に低い」という。しかし「状況は急速に変化しており」、感染した旅行者が米国にウイルスを持ち込むなど「非常に少ない可能性に対しても(CDCは)準備する必要がある」と警戒している。

 CDCは流行地域への渡航について、不必要な渡航は避けるべきとするレベル1の一歩手前のレベル2の警告を発している。対象国内で感染者の血液や体液との接触を避けるよう警告するレベルだ。

 CDCはまた米国内の医療関係者に対し、診察した患者に過去2週間以内の西アフリカへの渡航歴があることが分かった場合、他に疑われる疾患と区別できるようエボラ出血熱の症状を確認するよう再通告した。モンロー氏によれば、医療現場でのエボラウイルスとの接触の大半は注射針や、患者の嘔吐物や下痢による排せつ物を処理している間に起こっている。

■間違えやすい症状

 エボラ出血熱は症状を示していない限り感染性はないが、熱や体の痛みといった初期症状は、マラリアやラッサ熱など他の疾患と間違われることがある。またエボラ出血熱では、体の広範囲に出血が起こるという認識があるが、実際に出血がみられる症例は全体の半数ほどでしかない。

 モンロー氏によれば、流行の終わりが宣言されるためには、最長潜伏期間の2倍の42日間が過ぎるまで新しい症例が現れないことが条件となる。「1本の木から出た火が山火事を起こすように、流行が再発する可能性が心配だ」と同氏はいう。「リベリアでは明らかにそうした状況が起きた。21日以上、新たな症例はまったくなかったのに、エボラは再び戻って来た」

 CDCによれば、エボラ出血熱の致死率は最高90%にも上る。ただし予防措置の効果により、今回の流行による致死率は60%前後にとどまっている。しかし流行が収まる気配はなく、今後数か月でさらに症例は増えることが予想される。(c)AFP/Kerry SHERIDAN