【7月29日 AFP】ここ数週間のうちに日中露3か国の首脳が次々と中南米諸国を歴訪している──米国としのぎを削って影響力の拡大を争い、資源豊富な中南米市場に投資し進出するためだ。

 3か国の首脳の中で直近の訪問は安倍晋三(Shinzo Abe)首相だ。25日にメキシコから中南米5か国歴訪を開始した安倍首相は28日、2番目の訪問地トリニダード・トバゴに到着した。

 安倍首相と入れ替わるように中南米歴訪を切り上げたのが、中国の習近平(Xi Jinping)国家主席だった。ブラジル、アルゼンチン、ベネズエラ、キューバを訪問し、100を超える通商協定に調印した。一方、ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は今月11日から1週間、中南米に滞在し、アルゼンチン、ブラジル、ニカラグア、キューバを訪問した。

 中南米にとって一番の貿易相手国は依然、米国だが、米政府が中南米を当然のように「裏庭」とみなせる時代ではなくなっている。「2、3年のうちに中国は、この地域にとって重要な貿易相手として現在2位の欧州連合(EU)に取って代わるだろう」というのは、国連(UN)経済社会理事会ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(ECLAC)国際貿易部のオズワルド・ロザレス(Osvaldo Rosales)氏だ。同氏はまた、「安倍首相の歴訪の理由もそこにあるだろう。中南米が中国と進めつつある関係強化に対抗することは、日本と韓国にとって重要だ」とAFPの取材に語った。

 習主席の訪問先は米国の「帝国主義」を糾弾する国々だったが、チリ出身の経済学者であるロザレス氏いわく、習主席の訪問も「単に経済」が狙いだ。「中国は5~7%の成長率を長期的に維持するための天然資源を必要」としている。すでにチリの銅と木材、ペルーの金と亜鉛、アルゼンチンの牛肉と小麦、ブラジルの砂糖と大豆、ベネズエラの石油といった市場に中国は進出している。