【7月29日 AFP】短時間のランニングにも長い距離を走るのと同程度の寿命を延ばす効果があるとした研究論文が、28日の米国心臓病学会誌「Journal of the American College of Cardiology」に掲載された。

 研究論文によると、毎日5~10分程度の短時間のランニングを行うことで、心臓疾患や早死にのリスクを大幅に軽減することができるという。

 研究では、ランニングする人は、まったく走らない人に比べて、死亡リスクが30%低く、心臓疾患で死亡するリスクが45%低いとの結果が示された。またランニングをしている人は、していない人に比べて、平均約3年長生きできる可能性があることも分かった。

 さらに、走る時間や速度が違っても同様の効果が期待できることも明らかになっている。走る時間が週50分の人と週180分の人とを比べた場合でも、リスク軽減に関する結果に統計的な大きな違いは見られず、また時速10キロ未満でゆっくり走った場合と速く走った場合との間にも大差はなかった。

 論文は、これらの研究結果から、最小限のランニングであっても、大きな効果が期待できるとしている。

 研究を率いた米アイオワ州立大学(Iowa State University)のダックチャル・リー(Duck-chul Lee)助教(運動生理学)は、「(走るための)時間は、運動を行う際の大きな妨げの一つになっている。今回の研究は、より多くの人たちがランニングを始めるきっかけとなるかもしれない」と述べた。

■最小限の努力でも効果大

 研究では、米テキサス(Texas)州の成人(平均年齢44歳)5万5000人以上を対象に、15年間にわたる調査が行われた。対象者のほとんどは白人で、全体の約25%が女性だった。

 対象者は、ランニングをする人としない人で大まかに分けられ、その上で、走る時間や距離、頻度に応じてさらにグループ分けされた。最終的に6グループを対象に調査が行われた。

 研究チームはまた、ランニングとウオーキングを比較。その結果、5分間のランニングには、15分間のウオーキングと同程度の健康効果があることが分かった。

 英医学専門誌ランセット(Lancet)に2011年に掲載された論文では、15分のウオーキングによって寿命を3年延ばす効果が得られる可能性が示されていた。推奨されるウオーキングの時間は30分だという。(c)AFP/Kerry SHERIDAN