【7月28日 AFP】オランダ政府は27日、ウクライナ東部の親ロシア派支配地域にあるマレーシア航空(Malaysia Airlines)MH17便墜落現場の保全を目的とした国際武装部隊の派遣計画について、同地域で続く紛争に引き込まれる恐れがあるため中止すると発表した。

 MH17便墜落の調査を主導しているオランダ当局は、オーストラリアとともに武装部隊の派遣を計画していた。だが、マルク・ルッテ(Mark Rutte)首相は、ハーグ(Hague)での記者会見で、「この地域での国際作戦で軍事的優位を得るのは、われわれが出した結論によると、非現実的だ」と表明。墜落現場周辺での親露派武装勢力の存在や、同勢力を支援しているとの疑いがかけられているロシアとの国境に現場が近いことを指摘した上で、「ウクライナの紛争に直接関与する国際的軍事作戦は、現実の危険をともなうという結論に、各国のパートナーらとともに達した」と述べた。

 現場近郊の町々は激しい爆撃に揺さぶられており、オランダとオーストラリアの政府当局者の非武装チームも、27日の視察計画を断念した。ウクライナに派遣されている欧州安保協力機構(OSCE)監視団のアレクサンダー・フグ(Alexander Hug)副団長は、小規模な調査団が状況評価のために現地を訪れたが、重火器を目撃し「安全上の理由で」視察を断念したことを明らかにした。

 墜落現場では、夏の太陽の下、MH17便に搭乗していた298人の犠牲者の遺体の一部が放置されたままとなっている。現場周辺ではウクライナ政府軍と親露派の双方が停戦を宣言しているが、調査員らはこれまでのところ、安全上の懸念が原因で散発的にしか現場を訪れていない。ウクライナのパブロ・クレムキン(Pavlo Klimkin)外相はツイッター(Twitter)上で、同国政府は「MH17墜落現場の周辺40キロでの一方的な停戦に尽力している」が、「テロリストたちが犯罪の証拠を破壊している」と述べ、親露派を非難した。(c)AFP/ Bulent KILIC in Grabove with Dario THUBURN in Donetsk