【7月11日 AFP】13日に行われるサッカーW杯ブラジル大会(2014 World Cup)決勝戦は、アルゼンチン出身のフランシスコ(Francis)法王とドイツ出身の前法王ベネディクト16世(Benedict XVI)が隣り合わせでそれぞれの母国を応援する「法王2人の決戦」になる──こんな臆測がイタリアメディアをにぎわせているが、ローマ法王庁(バチカン)によると、その可能性は低いという。

 フランシスコ法王は大のサッカー好きで知られ、子どもの頃からブエノスアイレス(Buenos Aires)のチーム、サン・ロレンソ(San Lorenzo de Almagro)の公式サポーターズクラブのメンバーに名を連ねている。「法王は決勝戦を観戦したいと望むかもしれない」と、バチカンのフェデリコ・ロンバルディ(Federico Lombardi)広報局長も認めた。

 だが、バチカン情報筋によればロンバルディ広報局長は、フランシスコ法王がベネディクト16世と共に互いの母国代表が激突する決勝戦を観戦するのではないかとの臆測がメディアで報じられている点に関しては、「きっぱりと否定した」という。

 ベネディクト16世は、クラシックのピアノ音楽を好む学者肌の人物で、同情報筋によると「サッカーファンではない」。87歳の前法王に決勝戦を観戦させるのは「無限の改心を強いるようなものだ」「前法王はこれまでの人生で、サッカーの試合を最初から最後まで観戦できたことはない」という。

 ベネディクト16世は法王在位時、サッカーの試合結果を定期的に報告されるのを好んでおり、重要な試合に対してはコメントもしていたが、地元クラブのバイエルン・ミュンヘン(Bayern Munich)を応援してはいなかった。

 だが一方で、バチカン発行の日刊紙オッセルバトーレ・ロマーノ(Osservatore Romano)は今月初め、アルゼンチン対ドイツの決勝戦を予想する異例の記事を掲載。この中で、元サッカー選手で敬虔なカトリック教徒のトマソ・ダミアーニ(Tommaso Damiani)氏は、フランシスコ法王とベネディクト16世を示唆して「並外れた2人のサポーターに応援される歴史的な決勝戦になるかもしれない」と述べていた。(c)AFP/Jean-Louis DE LA VAISSIERE