【7月11日 AFP】サッカーブラジル代表のネイマール(Neymar da Silva Santos Junior)が10日、所属クラブでチームメートのリオネル・メッシ(Lionel Messi)に対し、W杯ブラジル大会(2014 World Cup)決勝でアルゼンチンを優勝に導いてほしいと語った。

 チームのキャンプ地テレゾポリス(Teresopolis)に戻り、記者会見を行ったネイマールは、感情を抑えることができず、涙を流しながら腰椎骨折を引き起こしたタックルについても振り返り、一歩間違えれば下半身不随になる可能性もあったと語っている。

 ブラジルの通算6度目となるW杯制覇の夢は、ドイツに1-7と大敗したことで無残に砕け散ったが、ネイマールは13日の決勝ではアルゼンチンがドイツを倒し、FCバルセロナ(FC Barcelona)の同僚であるメッシにトロフィーを掲げてほしいと話している。

 ネイマールは記者会見で、「サッカーのなかでメッシの歴史はとても重要だ。彼はここまでいくつものトロフィーを勝ち取ってきたし、決勝ではメッシを応援する」とコメントした。

「彼は友達であり、チームメートだ。幸運を祈っている」

 ネイマールは、コロンビアに2-1で勝利した準々決勝で、フアン・スニガ(Juan Zuniga)の激しいタックルを受けて負傷し、大会からの離脱を余儀なくされた。

 22歳のネイマールは涙をぬぐいながら、スニガの膝が腰に入った直後は、下半身がまひするのではという恐怖に襲われたと話している。

「神様が守ってくれた。そこまで深刻なけがではなかったからね。あと2センチ上だったら車いす生活になっていた可能性もあった。本当に怖いことだ」

「僕のキャリアにとって、本当に重要な大会で起きた出来事だった。受け入れるのは難しい。あのタックルと、そのあと起きたことは受け入れがたい」

「僕はスニガ本人ではないから分からないし、悪意があったと言うつもりはないけれど、サッカーを理解している人ならあれが普通のタックルじゃないことは分かるはずだ」

「背後から来る相手に対してはどうしようもない。僕にはどうやっても防ぎようのないことで、けがをしてしまった」

 ネイマールは復帰までに最大で6週間を要するとみられているが、国際サッカー連盟(FIFA)は、スニガに対して処分を科さないことを決めている。

 しかし、ネイマールはスニガに対して悪い感情は持っていないと強調し、ナポリ(SSC Napoli)に所属するスニガから謝罪の電話があったことを明かした。

「もちろん許すよ。怒ってなんかいない。次の日、謝罪をするために電話をかけてきた。けがをさせるつもりはなかったと言って、謝ってくれたんだ」

 ネイマールはこの日、負傷してから初めてチームのキャンプ地テレゾポリス(Teresopolis)に戻り、ドイツに屈辱的な大敗を喫して意気消沈しているチームメートを激励した。

「うれしい状況ではないけれど、戻ってきて友達と会えたのは良かった。僕も同じ方向をみているから、結果に関係なく、一緒にこの大会を終えようと伝えたよ」

 そしてネイマールは、オランダと対戦する12日の3位決定戦について、自身が試合に出場することはかなわないものの、少なくとも誇りは取り戻さなくてはならないと残りのチームメートに訴えた。

 ネイマールは「大切なのは、全員で団結して、次の試合を名誉ある形で終えることだ」と話した。

「僕たちには母国で王者になるチャンスがあったけれど、それを逃した。僕たちは課題を修正できず、最後までたどり着けなかった。良い大会だったことはみんな分かっているけれど、最高のプレーはできなかった」

「僕たちはブラジルのサッカーがどれだけすごいのかを示すことができなかった。この国のサッカーの優れたところや魅力をね。それでも、決勝のつもりで最後の試合に向き合わなければならない」

「勝ったとしても、今も感じている痛みがすっかり消えてなくなるわけではないけれど、それでも勝利は重要だ」

(c)AFP