【7月9日 AFP】米中閣僚らが出席し年に1回行われ、今回で6回目となる米中戦略経済対話(Strategic and Economic Dialogue)が9日、中国・北京(Beijing)で始まり、中国の習近平(Xi Jinping)国家主席は米中の長年の対立関係の打破を呼び掛けた。

 習主席は、2日間の日程で北京で始まった協議の冒頭で、両国の歴史と文化の違いを考慮に入れれば「中国と米国が異なる意見を持っていることや、特定の問題について衝突さえすることは自然」と語った上で、対話と協力の必要性を強調した。

 第6回米中戦略経済対話は、中国と近隣諸国の海洋の権利などをめぐる対立がこの数か月激化し、米国がサイバーセキュリティーや中国によるハッキングに懸念を高める中で始まった。

「われわれの利害はかつてないほど相互連結している」と習主席は述べ、「(米中両国は)協力によって得をし、対立によって損をする」と主張。「われわれが対立すれば、両国そして世界が災いに見舞われる」と続け、「避けられない対立という古い型を打破するべきだ」と呼び掛けた。

 バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は協議の開幕にあわせて声明を寄せ、「米国と中国はあらゆる問題で意見が一致するとは限らない」と同意した上で、それゆえに「両国の違いを率直に表明する一方で、共通の課題、相互責任、一致する利害をめぐり、関係を構築する必要がある」と呼び掛けた。

 米側のジョン・ケリー(John Kerry)国務長官とジャック・ルー(Jack Lew)財務長官は、中国との関係を強化する「新しい型」を構築する意思が米国にはあると表明した。

■米国、中国の台頭を歓迎

 ケリー国務長官は、中国側の懸念に触れ「米国は中国の封じ込めを狙ってはいない。われわれは、地域の安定と発展に貢献し、国際問題に責任ある役割を果たす平和で安定して繁栄する中国を歓迎する」と述べた。

 さらに同長官は、「個別の問題では相違があるかもしれないが、その相違を全体の戦略と解釈してはならない」と、強調した。

 習主席は領有権問題について直接は言及しなかったが、中国が「近隣諸国およびその外側の国々と友好的な関係」を樹立することに取り組んでいると繰り返し述べた。

 ケリー国務長官は、インターネットの利用と保護に関するルール策定のため、中国にサイバーセキュリティー作業部会の復活を呼び掛ける方針。(c)AFP/Jo Biddle