【7月5日 AFP】日本とエルサルバドルの考古学者らが4日、エルサルバドルの遺跡で1600年以上前のものとみられる3体の人骨を発見したと明らかにした。先スペイン期にこの地域に定住した人々の謎の解明につながる可能性がある。

 ほぼ完全な姿をとどめた3体の人骨は、首都サンサルバドル(San Salvador)から南東に約90キロの太平洋岸近くにあるヌエバ・エスペランサ(Nueva Esperanza)遺跡で見つかった。ここには5~6世紀の巨大噴火で降り積もった火山灰に覆われ、主に製塩と漁業をしていたと考えられている当時の人々の暮らしぶりが保存されている。

 調査プロジェクトの責任者である市川彰(Akira Ichikawa)氏はAFPに対し、今回の発見は「(これまで)儀式が行われる中心的な場所だけが注目されてきたエルサルバドルの考古学調査の新たな扉を開くものだ」と語り、厚さ約2メートルに及ぶ火山灰の層に眠っているのはこれらの人骨だけではないはずだという見方を示した。

 考古学者のオスカル・カマチョ(Oscar Camacho)氏によれば、これまでの分析で人骨は2体が25~35歳とみられる成人で、1体が7~9歳とみられる子どもであることが分かった。いずれも陶器の数珠玉2個を首に着けていたという。

 3体は埋葬されており、2体はあぐらをかいた姿勢だった。また、副葬品には暗褐色に赤い色のしま模様が入った陶磁器のつぼやかめなどがあった。

 これら3体の人骨は、きれいにクリーニングした後、サンサルバドルの国立考古学博物館(National Museum of Anthropology)の専門家らが詳しく調査する。

 歯と肋骨(ろっこつ)の一部の化学的分析を行い、それぞれの性別と正確な年齢、生活様式や食習慣、病気の有無などを調べる予定だという。(c)AFP/Carlos Mario MARQUEZ