コスタリカの快進撃を支える「スペシャル・ワン」の成功レシピ
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【7月3日 AFP】サッカーW杯ブラジル大会(2014 World Cup)でコスタリカ代表を率いるホルヘ・ルイス・ピント(Jorge Luis Pinto)監督によれば、史上初のW杯8強入りを果たした同国代表のおとぎ話は、「スペシャル・ワン」ことジョゼ・モウリーニョ(Jose Mourinho)監督のサッカー哲学のおかげだとしている。
これまで代表チームを率いたことは一度もないモウリーニョ監督だが、FCポルト(FC Porto)やチェルシー(Chelsea)、インテル(Inter Milan)などで収めてきた成功は、61歳のピント監督に影響を与え、ほぼ無名のチームがもたらした今大会最大のサプライズにつながっている。
コスタリカは、優勝経験国ばかりのグループに入りながら、ウルグアイとイタリアに勝利すると、イングランドとは引き分け、決勝トーナメント1回戦では勇敢な戦いぶりでギリシャとのPK戦を制し、準々決勝で対戦するオランダの頭を悩ませている。
ピント監督の国際大会での経験は、コロンビア代表を率いて臨んだ2007年のコパ・アメリカ(2007 Copa America)、コスタリカで出場した2013年のゴールドカップ(CONCACAF Gold Cup 2013)などに限られているが、成功を収めるには一貫した指導法を持つことが肝心だと考えている。
ピント監督は「私の仕事は、第一に指導することと、指導の仕方を考えることだ。そうすることで、練習の効果を最大限まで上げることができる」と語った。
「モウリーニョ監督の意見には同意する。彼はサッカーとは第一にトレーニングの方法、すなわちコンセプトの設定、練習、そしてもちろん戦術だと言っているね」
コロンビアのボゴタ(Bogota)を本拠地とするミジョナリオス(Millonarios)で指導者としてのキャリアをスタートさせ、その後は10チーム以上で指揮を執った経歴を持つピント監督は、モウリーニョ監督と同じく、休まずに次を目指すことが選手を研ぎ澄まされた状態に保つ、という職業倫理を熱心に信奉している。
そうした考え方は、イタリアに1-0で勝利し、決勝トーナメント進出を決めた試合後のコメントに表れていた。
ピント監督は、「栄光の余韻にいつまでも浸るつもりはない。われわれのW杯はまだまだ終わっていない」とコメントを残し、選手に対しては、気を抜くのではなく飢えを保ちながら、イングランド戦ではグループ首位通過に必要な勝ち点1獲得を目指すよう求めた。
とはいえピント監督も、ここまで来れば、パナマとニカラグアに挟まれた人口わずか480万人足らずの中米の小国、コスタリカが成し遂げたことを称賛したいと考えている。
「われわれは良いサッカーができるということを示している。私はそのことを誇らしく思う」
2004年から2005年にかけてコスタリカ代表の指揮を執り、2011年から2度目の同国代表指揮官の座に就いたピント監督は、自らの身を捧げ、地味なクラブでプレーする選手ばかりのコスタリカを厳しく鍛え上げてきた。
そして対戦相手の長所と短所をあぶり出しながら、成功を収めたチームの哲学やメソッドを教え込んできた。
コロンビア、コスタリカ、ペルー、ベネズエラで国内リーグのタイトルを獲得してきたピント監督は、「サッカーは私の人生であり、情熱であり、職業であり、気晴らしだ」と話すが、同時にサッカーと人生のそのほかのことに違いはないとも語っている。
「サッカーも世界や車、コンピューターと同じく進化している。常に変化するこのスポーツで、追いていかれないようにするためには、われわれも進化しなくてはならない」
コスタリカは4日にサルバドール(Salvador)で行われる準々決勝でオランダと対戦する。(c)AFP/Diego Reinares