【6月17日 AFP】デンマークで人気の菓子パン「シナモンロール」が、欧州連合(EU)の規制によって製造禁止に追い込まれる恐れが出ていた問題で、同国の製パン業の業界団体は16日、シナモンロールを「伝統食」と位置付けることで規制を回避することができたと発表した。

 シナモンには、過剰に摂取すると有害な物質「クマリン」が含まれている。EUの規制機関が昨年11月、シナモンロールの多くにEU規制値を超えるクマリンが入っていることを発見して以来、この菓子パンが市場から消えるのではと懸念されてきた。EU懐疑派の政治家らは、この問題をEUによる過干渉の一例と批判していた。

 デンマーク製パン協会(Danish Bakers' Association)が16日に発表したところによると、シナモンロールを時折にしか口にしない伝統食または季節限定食品に分類すれば、ペーストリー(焼き菓子)1キロ当たり15ミリグラムというEUの規制を回避できることが分かったという。

 同協会は、「約6か月に及ぶ運動の結果、シナモンロールとその類似製品は伝統的なデンマークの菓子パンとみなされ、最終製品1キロ当たり50ミリグラムまでのクマリン含有が認められることで合意に達した」と発表した。

 クマリンは腎臓や肝臓に悪影響を与える恐れがあるとして、一部の国では数十年前から食品添加物としての使用が禁じられている。一部の消費者団体は、クマリンに発がん性がある恐れもあると指摘している。

 世界各国の市場で最も多く出回っているシナモン2種のうち、中国産の1種にクマリンの含有量が比較的多いとされる。この中国産シナモンは、市販の焼き菓子によく使われている。

 シナモンロール製造禁止問題は、先月行われた欧州議会選挙の際にデンマーク国民党(Danish People's Party)が強調した論点の一つ。「EUを少なく、デンマークを多く(Less EU, more Denmark)」のスローガンで選挙運動を展開した同党はこの選挙で、25%を超える票を獲得した。(c)AFP