【6月2日 AFP】米政府の大規模な情報収集活動を暴露した後、訴追を逃れるためにロシアに一時亡命した米国家安全保障局(National Security AgencyNSA)の元職員、エドワード・スノーデン(Edward Snowden)容疑者は、1日のテレビ・インタビューで、ブラジルに亡命を申請したことを明らかにした。

 ロシアから認められたスノーデン元職員の一時亡命は8月に期間切れを迎えるが、米政府は同元職員の旅券(パスポート)を無効化しているため、渡航が可能な範囲は限られている。

 ブラジルに在住の米国人記者グレン・グリーンウォルド(Glenn Greenwald)氏と共にブラジルのテレビ局グロボ(Globo TV)のインタビューを受けたスノーデン元職員は、同国を含む複数の国に正式に亡命を申請したと述べた上で、「ブラジルに住めたら嬉しい」と語った。

 英紙ガーディアン(Guardian)に記事を提供しているグリーンウォルド記者は、スノーデン元職員が暴露した情報の多くを記事にしてきた。

 ただ、ブラジル外務省は、スノーデン元職員から正式な亡命申請は受けていないとしている。

 スノーデン元職員はインタビューで、亡命は人道的見地から認められるべきであり、どの国に対しても亡命許可と引き換えに機密文書を提供するつもりはないと言明。ただ、英国やブラジルなどの他国を対象とした米当局による情報収集活動について、まだ公表していない文書はあるとも語った。

 ブラジルのジルマ・ルセフ(Dilma Rousseff)大統領は昨年、スノーデン元職員が公表した機密文書によって、米当局がブラジルでスパイ行為をしていたことが発覚したことを受け、予定していた米国への公式訪問を中止した。

 スノーデン元職員は5月28日の米NBCニュース(NBC News)のインタビューで、恩赦や特赦の可能性があれば受け入れることを示唆し、「いつか母国に帰りたい」との本心も語っている。一方の米政権は、スノーデン元職員の帰国は歓迎するが、米国の敵に利する機密情報を漏えいした罪で裁判を受けるべきだと強調している。(c)AFP