【5月21日 AFP】国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は20日、ウクライナ情勢が危機的な状況に陥って以降、自宅を追われた国内避難民は少なくとも1万人に上ると明らかにした。多くはクリミア(Crimea)半島のタタール(Tatar)人だという。

 クリミアに住むイスラム教徒のタタール人は、一般に暫定政権寄りとされており、3月に実施された住民投票でクリミアのロシア編入が承認されて以来、数千人が別の地域に避難したとみられている。

 人口約30万人とされるタタール人の高齢者の間では、旧ソビエト連邦時代にシベリア(Siberia)地方へ追放された記憶が今も残っている。

 UNHCRのエイドリアン・エドワーズ(Adrian Edwards)広報官によれば、クリミアでは住民投票の前から国内避難民が発生し始め、その数は徐々に増加している。今回発表された人数には地元当局に登録した人しか含まれていないことから、実際には1万人を超えている可能性がある。また、その大半は難民として国外に逃れるのではなく、国内にとどまっているという。(c)AFP/Jonathan FOWLER