■宗教団体の会合で信仰心をアピール

 ヒラリー氏は5月第1週の週末、二つの大きなイベントに参加した。ケンタッキー(Kentucky)州ルイビル(Louisville)で開かれた合同メソジスト教会女性部(United Methodist Women)の会合と、アリゾナ(Arizona)州セドナ(Sedona)で行われたジョン・マケイン(John McCain)上院議員(共和党)主催のフォーラムだ。

 6500人の女性で満席になったルイビルの会場でヒラリー氏は、メソジスト派の教えをあつく信仰し、ウェールズ系の祖先から受け継いだ勤労倫理によって形作られた自らの子供時代について語った。

 演説用の原稿もテレプロンプターもなしに、ヒラリー氏は米国社会を構成するさまざまな層に訴える数々の逸話で聴衆を沸かせた。

「私はあの教会が大好きでした。父が毎晩ベッドの横で、お祈りしていたのをよく覚えています。それは私に大きな影響をもたらしました。父は粗野な人で、たたき上げで成功した実業家でした。そんな人が毎晩、神の前では慎み深く膝をついていたのです」。聴衆はこの演説に拍手喝さいを送った。

 会場にいたキャシー・クローンさんは「女性の大統領を迎える準備はできている。その人に資質があればの話だけど、彼女にはまさにその資質が備わっている」と、ヒラリー氏を褒めたたえた。

 主催者によれば、ヒラリー氏のルイビルでの演説は無償だったという。米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)によると、業界団体などの会合で同氏が話す際の講演料は通常、最高20万ドル(約2000万円)に上る。