【4月23日 AFP】カナダ人の3分の1近くが、子供の頃に家庭で身体的または性的な虐待を経験しているとの調査結果が22日、加マニトバ大学(University of Manitoba)の研究チームにより発表された。さらに同研究は、精神疾患や自殺との関連性についても注意を促している。

 同大精神医学部のトレイシー・アフィフィ(Tracie Afifi)氏と共同執筆者らは「公衆衛生の観点から、児童虐待の防止をカナダの最優先事項の1つとするのが急務であることを、この調査結果は浮き彫りにしている」と述べている。

 研究チームは、2012年に行われた精神衛生に関する調査に参加したカナダ人2万3395人分のデータを調べた。論文によると、カナダの成人の32%が児童虐待を受けた経験があるという。

 虐待を経験した人の割合は男性の方が高く、大半は身体的虐待だった一方で、性的虐待は女性の方に多くみられた。

 平手打ちや「硬い物で叩かれる」などの比較的軽い種類の身体的虐待にも、精神疾患や、心の問題につながる自殺念慮や自殺未遂との関連性がみられた。

 また論文によると、摂食障害は身体的虐待にのみ関連がみられたのに対し、心的外傷後ストレスと学習障害は性的虐待に関連していた。一方で双極性障害のケースは、自身の体を露出させて子どもに見せつける親や保護者に原因をさかのぼることができたという。(c)AFP