【4月14日 AFP】ウクライナが親ロシア派武装勢力に対して軍も投入する「全面的な」作戦を宣言し、同国東部の衝突で死者も出た事態などを受け13日に開かれた国連安全保障理事会(UN Security Council)の緊急会議で、ロシアと欧米側が激しく意見を戦わせた。

 激化するウクライナの危機をめぐり、ロシアのビタリー・チュルキン(Vitaly Churkin)国連大使は「すでに流血の事態となっており、これ以上激化しないよう、早急に止めなければならない」と述べた。

 これに対し、米国のサマンサ・パワー(Samantha Power)国連大使は、プロパガンダを駆使して扇動しウクライナに暴力を仕掛けているのはロシアだと非難し「これは最も悲しむべき類の政情不安だ。完全に人間が作りだしたもので、ロシアでロシアによって書かれ、演出されたものだ」と応じた。さらにパワー大使はロシアに対し、ウクライナ国境にロシア軍4万人が集結している理由の説明を求めた。

 ウクライナ東部では12日、覆面をした武装集団が警察署や治安部隊の建物を組織的に襲撃する事件が発生。ウクライナ南部クリミア半島(Crimean Peninsula)のロシア併合に至った経過との類似性から、特にウクライナ暫定政権と欧米諸国の指導者たちを動揺させている。

 ウクライナのアルセン・アバコフ(Arsen Avakov)内相は13日早朝、東部ドネツク(Donetsk)州の分離派武装勢力に対する反撃開始を宣言。続いてオレクサンドル・トゥルチノフ(Oleksandr Turchynov)大統領代行が「全面的な対テロ作戦」の開始を宣言した。

 トゥルチノフ大統領代行は国民に向けたテレビ演説で「われわれはロシアがウクライナ東部で、クリミアと同じ筋書きを繰り返すことを許さない」と語った。(c)AFP/Yavgen SAVILOV and Dmitry ZAKS