【4月8日 AFP】パキスタンのアーティスト集団が、米国の無人機攻撃の標的となってきた部族地域に上空から見えるよう大きく拡大した子どもの肖像を設置することにより、無人機操縦士らの間に「共感」を生み出そうとしている。

NotABugSplat(つぶされた虫ではない)」と銘打ったこの企画では、論争の的となっているパキスタン北西部カイバル・パシュトゥンクワ(Khyber Pakhtunkhwa)州での一連の米無人機攻撃で両親を亡くした少女の写真を使い、草原に設置された巨大ポスターの写真が公開された。この写真自体もまた、小型のヘリコプター型無人機を使用して上空から撮影された。

「bug splat(つぶされた虫)」とは、米国の無人機操縦士らが、ビデオカメラを通して攻撃による犠牲者がどのように見えるか言及するために使用しているとされる言葉。

 匿名を希望して取材に応じたアーティストの1人は、「上空からカメラがとらえる物をできる限り再現しようとした」と語った。「人々が小さな虫のように見えるのがわかるでしょう。人間が小さな点にしか見えない時と、大きな顔として見える時にこれほどの差があるということを、私たちは浮き彫りにしたかった。共感と反省の念を生み出すことを願っている」

 アフガニスタンとの国境に接するパキスタンの部族地域は、アフガニスタンの旧支配勢力タリバン(Taliban)と国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)系の武装勢力の拠点となっており、2004年から米無人機の最大の標的となってきた。

 無人機による攻撃は、パキスタン国内で大きな反発を招いており、罪のない数百人の人命を不当に奪って同国の主権を侵害しているとして、強く非難されている。

 英国の非営利団体「調査報道局(Bureau of Investigative JournalismBIJ)」は、こうした攻撃によって少なくとも2296人と一般市民416人が死亡し、このうち少なくとも168人は子供だったと発表している。

 しかし、無人機攻撃の支持者らは、この死者数を疑問視するとともに、イスラム武装勢力「パキスタンのタリバン運動(Tehreek-e-Taliban PakistanTTP)」のバイトゥッラー・メスード(Baitullah Mehsud)司令官やハキムラ・メスード(Hakimullah Mehsud)司令官などの重要人物の殺害は、無人機攻撃によって成功したと指摘している。(c)AFP