【4月2日 AFP】ノルウェーは1日、領海内での今年のクジラの捕獲枠を昨年までと同じ1286頭に設定したと発表した。ただし、同国ではここ数年、設定数を下回る捕獲数が続いている。

 エリザベト・アスパケル(Elisabeth Aspaker)漁業・沿岸問題相は声明で、「われわれは今年も、捕鯨産業を良好な状態に維持し、その持続性を保証する捕獲頭数枠を決定した」と発表した。漁期は4月1日から9月30日まで。

 現在、世界で商業捕鯨を行っているのはノルウェーとアイスランドだけ。両国は、捕獲している鯨種は十分な生息数があり、絶滅の危機には瀕していないと主張している。

 ノルウェーは1986年から実施されている商業捕鯨モラトリアム(一時停止)に異議を申し立て、自国にはこの規定が適用されないとの立場を取っている。

 しかし、ノルウェーが今年の捕獲枠を発表する前日の3月31日には国際司法裁判所(International Court of JusticeICJ)が日本に南極海(Southern Ocean)で実施している調査捕鯨の禁止を命じ、捕鯨業界に大きな衝撃を与えた。

 鯨肉は貧しい家庭の食卓に並ぶものとされていたノルウェーでは、捕獲頭数が設定枠に満たない状態が続いている。公式データによると、昨年の捕獲頭数はわずか594頭だった。

 動物愛護活動家はこうした状況は消費者の鯨肉離れを示していると指摘している。一方、捕鯨産業関係者は、捕獲頭数が少ない理由として鯨肉の加工場の処理能力不足や燃料価格の高騰、捕鯨水域が沿岸から遠く離れていることを挙げている。(c)AFP