【3月26日 AFP】英国の風景画の巨匠ウィリアム・ターナー(William Turner)らが描いた日没の景色には芸術的価値のみならず、当時の大気汚染を示す歴史資料としての側面があるとした研究が、欧州地球科学連合(European Geosciences UnionEGU)の学術誌「Atmospheric Chemistry and Physics」に掲載された。

 1500~2000年までの絵画を分析したギリシャとドイツの研究者らの論文によると、大きな噴火により硫黄粒子が大気中に拡散されると、その日光を反射する性質から、日没はより赤みを帯びる傾向にあるという。これはエアロゾル(微少な粒子)による大気汚染量を測定する新たな手法となるかもしれない。エアロゾルは、噴火だけでなく自動車や工場からも排出される

「過去の測定機器が調達できなかった場所や時代の環境情報を活用する新たな方法を提供したかった」と、アテネアカデミー(Academy of Athens)の物理学研究者、クリストス・ゼレフォス(Christos Zerefos)氏はコメントしている。

 研究によると、19世紀初頭の欧州の芸術家たちは、それと知らずに、観測史上最大規模の噴火の影響を作品中に捉えていた。色彩を愛する風景画家のウィリアム・ターナーも、その自然現象を捉えた画家の一人だったという。