【3月24日 AFP】国連(UN)の科学者らが発表を予定している気候変動の影響に関する第5次評価報告書は、これまでの報告書の中で最も暗い見通しを示しており、炭酸ガスの排出が野放しに進行すれば、洪水、干ばつ、紛争、経済的損害などの危機が未来に忍び寄ると指摘している。

 AFPが入手した報告書の草案は、国連の「気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate ChangeIPCC)」による要約の一部で、今後の政策立案や気候会議に指針を示すものとなる可能性が高い。

 科学者らと各国政府の代表者らは、29ページの要約を完成させるための会合を横浜で25日から開催する。要約は報告書全文とともに3月31日に発表される予定だ。

 今回の要約が発表される約6か月前、IPCCは長く待たれてきた第5次評価報告書の第1部を発表した。その中では、地球温暖化の原因は人為的との確信を科学者らはかつてないほどに強めていると言明されている。

 また地球の気温は産業革命以降すでに約0.7度上昇しており、今世紀末までに0.3度から最大で4.8度上昇すると同報告書は予測している。海面は2100年までに26~82センチ上昇するという。

 草案は、温度が1度上昇するごとに損失がうなぎ上りに増加すると警告しているが、損失額がどの程度まで増加するかの予測は困難としている。

 気温が産業革命以前より2.5度上昇し、国連の目標値より0.5度高くなると、全世界の年間所得の0.2~2.0%の損失が生じる恐れがある。この数字は、損失額が毎年数千億ドル(数十兆円)規模に達する恐れがあることを示している。