【3月13日 AFP】性交渉の後に膣内に塗布する、後天性免疫不全症候群(AIDS、エイズ)を引き起こすウイルスへの感染防止を目的としたジェルが、サル実験で期待の持てる結果を示している。米国の科学者らが12日、発表した。

 現在市場に出回っている抗レトロウイルス効果のある製品と、この開発中のジェルとの一番の違いは、性交渉の前に塗布する必要がなく、性交渉後に使用する点だ。ジェルの実験はまだごく初期段階にあるが、実用化されればより効果の高い選択肢になり得ると研究者らは期待を寄せている。

 今回、新たにジェルを開発しているのは米疾病対策センター(Centers for Disease Control and PreventionCDC)の科学者ら。このジェルには米医薬品大手メルク(Merck)製の「ラルテグラビル(raltegravir)」が含まれている。ラルテグラビルは、血中のヒト免疫不全ウイルス(HIV)の量を減らす効果があるという。

 米医学誌「サイエンス・トランスレーショナル・マガジン(Science Translational Medicine)」で発表された研究報告書の共同執筆者は、AFPに対し、HIVへの感染にはウイルスと接触してから最短でも6時間かかるため、性交渉後の塗布でも十分に間に合うと説明した。

 実験は、マカクザル6匹を対象に行われた。サル免疫不全ウイルス(SIV)に接触させてから3時間以内に膣内にこのジェルを塗布した。結果、6匹のうち5匹でウイルス感染を防ぐことができ、84%の有効性が示された。

 さらに研究チームは現在、直腸に塗布できるジェルも開発中だという。(c)AFP