【3月14日 AFP】米ファストフード大手マクドナルド(McDonald's)の従業員らが、サービス残業の強制など不当な労働慣行によって同社から賃金を体系的に窃取されたとして12、13日の両日、米3州で計7件の集団訴訟を一斉に起こした。

 労働者側の弁護団によると、カリフォルニア(California)、ミシガン(Michigan)、ニューヨーク(New York)の3州で提訴されたこれらの訴訟に参加した従業員らは、賃金の未払い分の支払いと連邦法および州法に違反する労働慣行をやめるようマクドナルドに求めている。

 7件すべての訴訟で、世界中のマクドナルドを総括するマクドナルドコーポレーション(McDonald's Corporation)が訴えられている他、5件ではフランチャイズ加盟者も訴えられている。

 従業員側は、昨年56億ドル(約5700億円)近い利益を上げたマクドナルドでは、もともと賃金が低い従業員の勤務時間の一部の報酬を支払わないことが日常的になっていると指摘。また従業員に時間外労働をさせながら残業手当を払わない、タイムカードに実際より短い勤務時間を記録させる、食事や休憩時間を適切なタイミングで取らせないといった慣行がまかり通っているとしている。

 賃金が米労働市場で最低の部類に入るファストフードの従業員たちは近年、賃上げ要求運動を展開している。昨年8月には全米60の都市で、マクドナルドをはじめとするファストフードチェーンの従業員数千人がストライキを行い、最低15ドル(約1530円)の時給と、雇用主に報復されることなく労働組合を結成する権利を要求した。

 バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は現在、連邦最低賃金を時給7.25ドル(約740円)から10.10ドル(約1030円)へ引き上げようとしているが、議会で共和党の強烈な反対に遭っている。

 カリフォルニアとニューヨークの訴訟の弁護団に加わっているジョセフ・セラーズ(Joseph Sellers)弁護士によると、3州での集団訴訟の対象になるマクドナルド従業員は合計で3万人以上に上るという。(c)AFP