■「SNSは宣伝だ」

 仏南部の町フォンジョンクーズ(Fontjoncouse)にある三つ星レストラン、オーベルジュ ドゥ ビュ ピュイ(L'Auberge du Vieux Puits)のシェフ、ジル・グジョン(Gilles Goujon)氏も「アマチュア写真家」たちのマナーの悪さに憤慨している。同氏は、料理の写真は「(皿の上から)驚きを奪い、私の知的財産権を少しだけ侵している」とし、また「スマートフォンで撮影される写真の質がいいことなんてほとんどない。それは私たちの仕事を見せる最高のものではない」とコメントした。

 怒りをあらわしているのは、フランスのシェフたちだけではない。米国の有名店でも料理の撮影を禁止しているところがある。

 フランス人フード・ブロガーのステファン・リス(Stephane Riss)氏は、こうした反応を過剰だと語る。「シェフたちにとっては、話題になればなるほどいいはずだ。写真は宣伝にもなるし、売り上げアップにつながるはずだ」

 リス氏はまた、写真による厳しい批判を恐れているシェフもいるはずと指摘する。出来の悪い料理の写真が出回れば、もう否定しようがないからだ。「シェフたちは毎日、最高の料理を出さなければならない。1度の失敗でもネットにアップされれば取り返しがつかなくなる」

 他方、シェフの中にも「フード・ポルノ」を歓迎する声もある。パリ(Paris)のレストランのシェフ、ダビッドトゥタン(David Toutain)氏は、ネットで話題になったことが自分のキャリアを助けたと述べ、「時代に合わせる必要がある。SNSは宣伝だ」とコメントした。(c)AFP/Caroline TAIX