【2月3日 AFP】(一部更新)太平洋の島しょ国マーシャル諸島の環礁に漂着したところを先週発見され、太平洋を1年余り漂流していたと語っている男性が3日、マーシャル諸島の首都マジュロ(Majuro)に到着した。伸び放題のひげの男性はコーラを片手に、看護師の手を借りて警察の巡回船から降り立つと、港に詰め掛けた約1000人の見物人に笑顔で手を振ってみせた。

 この男性は、マジュロから船で22時間離れた同国最南のエボン環礁(Ebon Atoll)に先週1月30日、全長7.3メートルのファイバー製ボートで漂着した。救助した人々は当初、男性が16か月にわたり漂流したと考えていたが、男性はその後、2012年12月に中米メキシコを出港したと通訳者に語ったという。これが事実ならば、13か月かけて1万2500キロも漂流したことになる。

 発見当時、男性は下半身にぼろぼろになった下着を着けただけの状態で、意識が混乱していた。英語が話せないため、救出した地元住民らとは絵や身振りなどで意思疎通を図り、カメや鳥、魚などで食いつないでいたと説明した。雨が降らないときはカメの血を飲んでいたという。

 マーシャル諸島政府の通訳を務めるトーマス・アームブラスター(Thomas Armbruster)駐マーシャル諸島米大使は3日、マジュロで男性と面会し、男性が中米エルサルバドル出身で、今回の航海に出るまでメキシコに15年間住んでいたと話していることを明かした。元はエビやサメを獲る漁師だったという。「思ったより健康状態は良いように見えた」と同大使は語った。

 当初この男性の名前はホセ・イバン(Jose Ivan)とされていたが、マーシャル諸島の外務省筋によると、男性は巡回船内で行われた事情聴取でホセ・サルバドール・アルバレンゴ(Jose Salvador Albarengo)と名乗ったという。年齢は37歳で、メキシコ・タパチュラ(Tapachula)で「カモロネラ・デラ・コスタ(Camoronera Dela Costa)」という会社で働いていたと述べているという。

 男性はマジュロ島着後すぐ、検診のため市内の病院に向かった。男性によると、サメ漁のため15~18歳くらいの若者と2人で海に出たが、強風に流されて方角が分からなくなってしまったという。若者は生の鳥の肉を食べようとしなかったため、数週間で死んでしまったという。(c)AFP/Giff Johnson