路上清掃でアルコール依存症克服の試み、オランダ
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【11月21日 AFP】オランダの首都アムステルダム(Amsterdam)の朝9時、市内のとある家の物置小屋にアルコール依存症者たちが集合した──彼らはこの後、ビールとたばこを片手に町の清掃作業に当たった。
「けんかや騒音、女性に不快な言葉を浴びせるなど、彼らはオーステル公園(Oosterpark)で問題となっていました」と語るのは、国の予算と寄付で運営されている支援団体「レインボー基金」のヘリー・ホルトルマン(Gerrie Holterman)代表だ。
「目標は彼らを忙しくすること。いつも何かをしていれば、問題を起こさなくなる。今はもう公園にいないし、飲む量も減った。食事も改善したし、何よりも昼間にやることがある」
この仕事の報酬は、1日あたり10ユーロ(約1300円)とたばこ半箱、そして缶ビール5本だ。朝の仕事前にはコーヒーが提供されるが、希望者は缶ビール5本のうち2本を飲むことができる。もう2缶は昼食と一緒に、最後の1缶は仕事の後の楽しみだ。勤務時間は昼食の休憩を挟んで午後3時半まで、各自週3日「出勤」している。
反社会的行為の問題に対するこの想像力に富んだ取り組みは、他の国では受け入れがたいことかもしれない。いかにもオランダらしい現実主義的な考え方だ。
■生活に時間割を
ホルトルマンさんは大きな机の脇に腰掛け、それぞれが飲んだビールの本数をメモしていく。ホルトルマンさんが席を外せば、アルコール依存症者が自分たちで数を書き入れていく。お互いへの信頼がそこにはある。
参加者の1人のフランクさん(45)は「このグループのみんなが考えていることだと思うけど、ビールがもらえないならここには来ないよ。動くのにはアルコールが必要なんだ。アルコール依存症の不便なところだね」と半ばあきらめたようにいう。
参加者全員、ここにいるのが楽しいと話しており、自主的に参加している。名前を伏せて取材に応じた依存症者の1人は「生活に時間割ができる。自分たちはもう何年も、毎日何の予定もなく過ごしてきた。予定って何なのかさえ分かっていない。だから、自分たちにとってはいいことだ」とコメントした。
近所の住民たちも歓迎しており、日々、清掃作業に当たる参加者とあいさつを交わす様子を見ることができる。ある玄関先に立っていた女性は「公園でぶらぶらする代わりに有益なことをしていると思う」と語った。
■取り組みの効果、参加者の間で考え分かれる
しかしこの仕事が、依存症者たちの飲酒習慣に影響を与えている程度については、見方が分かれている。元パン職人のビンセントさん(48)は「1日忙しく過ごしているから、家に帰ったら特に飲みたいと思わない。仕事はちゃんとやっているよ、飲みながらだけどね。社会に貢献しているという満足感もある。それに配られるビールが軽めなのがいい。前に飲んでいたようなアルコール度数11%とか12%ではなく、5%だからね」と話した。
しかしフランクさんはもう少し懐疑的だ。「もちろん、前よりも決まった飲み方をするようにはなったけど、量が減ったとは思わない。帰り道にはスーパーに立ち寄って、稼いだ10ユーロをビールに変えてしまう」。さらにグループの活動がない日には、元の習慣に舞い戻るとしながら、「スーパーが朝8時に開いたら、俺たちが一番乗りだ。酒を買うためにね」と続けた。(c)AFP/Nicolas DELAUNAY