【11月15日 AFP】イラクでイスラム教シーア(Shiite)派の祭日「アシュラ(Ashura)」に当たる14日、厳重な警備にもかかわらず、主にシーア派を標的とした攻撃が各地で相次ぎ、44人が死亡した。

 同国中部にある同派の聖地カルバラ(Karbala)への巡礼で最高潮に達するアシュラではここ数年間、スンニ(Sunni)派の過激派による攻撃が繰り返されており、カルバラ市内とその周辺には3万5000人以上の兵士や警察官が配備された。

 治安・医療関係者によると、首都バグダッド(Baghdad)の北にある両宗派が混在するディヤラ(Diyala)州では、シーア派が多数を占める地域で警官に変装した人物が自爆攻撃を行い、32人が死亡、80人が負傷した。

 これに先立ち、首都の南にあるハフリヤ(Hafriyah)の町では複数の同時爆発で9人が死亡、また同国北部の石油都市キルクーク(Kirkuk)では二つの爆発で5人が負傷した。さらに、首都近郊とディヤラ州の州都バクバ(Baquba)でも爆弾攻撃などが発生し、計3人が死亡した。

■預言者ムハンマドの孫を悼む「アシュラ」

「アシュラ」は、シーア派の信徒がイラクをはじめ世界中で預言者ムハンマド(Mohammed)の孫にあたるイマーム・フセイン(Imam Hussein)を悼む行事。各地に巡礼テントが設営され、立ち寄る信者らに食べ物が振る舞われる。

 イマーム・フセインの霊廟があるカルバラに今年集結した信者は、アシュラの日までの10日間で国外からの20万人を含む200万人に上ると、州当局は見込んでいる。同市で信者らは、頭部や四肢を切断され殉教したとされる同師を守れなかった罪の意識やあがないの気持ちを示すため、自らの頭や胸を打つ儀式を行う。中には自分の頭皮に刀で切りつける人もいるという。(c)AFP/Ali al-Saadi