【10月5日 AFP】米国の同盟国の間でも、米国に敵対的な国の間においても、米国の国際的な地位は著しく損なわれた──予算不成立による政府機関の一部閉鎖を受けてバラク・オバマ(Barack Obama)大統領がアジア歴訪を取りやめた影響について一部の専門家はこのように指摘している。

 速やかな問題解決の兆しが見えない中、「世界最大の超大国における政治の機能不全は、この国の安全保障に対する大きな脅威になっている」と警告する声さえ上がっている。

 一方、米国が一貫して奨励してきた民主主義や言論の自由、政府の透明性などの価値観を受け入れ難いものとしてきた国々は、自らまひ状態に陥った米国をほくそ笑んで見ていることだろう。

 中国など一部の国にとっては、大きな混乱のシグナルを発している米政府とはかけ離れた高い「安定性」や「信頼性」があるというイメージを打ち出す、願ってもない機会だ。

■米国を見切る?アジア諸国

 オバマ大統領は政府機関の閉鎖を理由として、アジアで開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議と東アジアサミット(East Asia Summit)への出席を取りやめた。これらの会議は、「アジアに軸足を置く」というオバマ政権の方針を推進するものとされてきた。

 しかしアナリストらは、どういう理由でオバマ大統領がこれらの会議への出席を取りやめたのか、ということは世界全体にとってそれほど重要ではないと指摘する。

 米シンクタンク「戦略国際問題研究所(Center for Strategic and International StudiesCSIS)」のアーネスト・バウアー(Ernest Bower)氏は、「(欠席の具体的な理由など)中国は気にも掛けていない。率直に言って米国の同盟国も戦略的パートナーたちも、親しい友人たちもそうだ。結論を言えば、米国の大統領が出席できないなら、アジア諸国が自分たちで会議をまとめていくということだ」と述べた。(c)AFP/Jo Biddle