【7月8日 AFP】南アフリカ・東ケープ(Eastern Cape)州での今年の成人儀礼の割礼(包皮切除)の失敗で、若い男性30人が死亡し、300人近くが病院に搬送された。同州保険当局が7日に発表した。同国では、男性の成人の儀式として伝統的に割礼が行われている。

 保健当局の発表によると、これまでに若者293人が脱水症状、壊疽(えそ)、傷口の感染などが原因で病院で手当てを受けている。また森の中で10人が見つかり救出された後、病院に搬送されたが性器は腐敗し、著しく損傷していた。これら約300人の中には性器を失った若者もいるという。

 同州周辺の民族、コーサ(Xhosa)人、ソト(Sotho)人、ヌデベレ(Ndebele)人の男性は、成人の通過儀礼のために約1か月間、人里離れたやぶや山にこもるのが伝統となっている。期間中、割礼を受けるだけでなく、「男らしさ」や大人としての規律について学ぶ。

 伝統的な割礼はやぶの中で行われるが、施術用の器具が未消毒だったり、技術が未熟な場合もある。同国は毎年、割礼に失敗し、性器の切断や死に至る例が相次いでいる。

 南アフリカでは5月、他の2州でも計34人の死亡が報告されている。

 与党アフリカ民族会議(African National CongressANC)は7日、今年の成人儀礼の割礼による死亡例について遺憾を表明し、同国の「文化に定着している欠かせない」伝統儀式を施すにあたり、基本的な医療訓練を求めた。(c)AFP