【11月22日 AFP】今年6月に死んだ南米エクアドル沖のガラパゴス諸島(Galapagos Islands)のゾウガメ「ロンサム・ジョージ(Lonesome George、独りぼっちのジョージ)」は、実は独りぼっちではなかったと、ガラパゴス国立公園管理局(Galapagos National Park Service)が21日、発表した。ジョージと類似した遺伝形質を持つゾウガメが少なくとも17頭、ガラパゴス諸島に生息しており、ジョージと同じ属の個体もいる可能性があるという。

 ジョージは1972年にピンタ島(Pinta Island)で発見された。ガラパゴスゾウガメの亜種ピンタゾウガメとしては生存が確認されていた最後の1頭だったが、今年6月24日に死んでいるのが見つかり、ピンタゾウガメは絶滅したと考えられていた。

 しかしガラパゴス国立公園管理局の声明によると、米エール大学(Yale University)の研究チームが2008年にイサベラ島(Isabella Island)のウォルフ火山(Wolf Volcano)に生息するカメから採取した1600超のDNAサンプルをジョージのDNAと比較したところ、ピンタゾウガメ種の遺伝子を持つ雌9頭、雄3頭、若い個体5頭が確認されたという。国立公園管理局は「ウォルフ火山にさらに多くの交配種が生息しており、純粋種もいる可能性もある」と述べている。

 ガラパゴス諸島には現在、10種3万~4万頭のゾウガメが生息している。ピンタゾウガメやフロレアナゾウガメ、その他の雑種は、船乗りたちが食糧にするため船に積み込んだものの、その必要がなくなって船外に捨てたことで18世紀にイサベラ島に持ち込まれたと考えられている。

 ピンタゾウガメの遺伝子を持つ交配種が存在することは2008年に分かっていたが、公園管理局の専門家は6月、ジョージと同じピンタゾウガメを復活させるには不十分だとの認識を示している。

 今回の研究の詳しい内容は専門誌「Biological Conservation」の次号に掲載される。(c)AFP/Alexander Martinez