【8月2日 AFP】前年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震と同規模の大地震が米西海岸のオレゴン(Oregon)州を襲う確率は今後50年間で40%――。このような研究結果をオレゴン州立大学(Oregon State University)の研究チームが1日発表した。

 同大学の研究者らによれば、オレゴン州とカリフォルニア(California)州の州境からカナダのバンクーバー島(Vancouver Island)にかけた太平洋岸北西地域(Pacific Northwest)では、過去1万年にマグニチュード(M)8.7~9.2の大地震が19回起きている。加えて、オレゴン州クースベイ(Coos Bay)からニューポート(Newport)にかけてのカスカディア沈み込み帯(Cascadia Subduction Zone)の南部分では、さらに22回の大きな地震が集中して発生している。

 オレゴン州立大学の研究チームが13年間にわたる研究結果を基にまとめた論文は、米地質調査所(US Geological SurveyUSGS)のウェブサイトで発表された。研究では、過去に起きた地震を特定するために海底堆積物の調査などを行った。

 論文の主執筆者、クリス・ゴールドフィンガー(Chris Goldfinger)氏は声明の中で、カスカディア沈み込み帯の南端は北端と比べて大地震の発生頻度が圧倒的に高く、既に大地震発生の周期を過ぎていると述べた。オレゴン州の先住民族の間では1700年ごろに起きた大地震の伝承も残されている。

 論文では、今後50年間に大きな地震がクースベイ周辺を襲う確率を40%と推定し、前年日本で津波による壊滅的な被害をもたらしたM9.0の東北地方太平洋沖地震と同規模の地震となる可能性もあるとしている。

 だがオレゴン州の地震対策は地震大国の日本と比べるとかなり遅れている。オレゴン州では学校などの建物の多くが大地震に耐えられないとの指摘が出る一方で、インフラ改修にかかる膨大な費用を道路建設などのより差し迫った必要性を満たすために投入すべきだとの反対意見も出るなど、防災対策をめぐる政治的議論が活発化している。(c)AFP