【6月8日 AFP】中国のマイクロブログユーザーは、「豆腐に含まれるタルク」についても心配している。豆腐はタンパク源として中国全土で食べられている食材だ。

■「排水溝の油」の再利用、小麦粉の「不自然な白さ」

   「それに、油で揚げた食品も食べられない。道端からすくい集めた廃油を再利用して揚げていないという保証がない」。前年末、レストランの排水管から集めた通称「地溝油」を販売したとして、1地方だけで50人以上が逮捕される事件があった。

   「小麦粉は寒気がするほど不自然な白さだ」

 それでも、食品汚染は中国の健康問題の中では最も懸念の度合いが低いものかもしれない。というのも当局にとっては悪徳業者を摘発するほうが、汚染された河川・湖沼や大気を浄化するより楽な仕事だからだ。

 今年に入ってから既に河川に化学物質が大量排出された事件が2件発生しており、住民はそのたびに安全な水を求めてスーパーマーケットに殺到した。

 1月には、柳江(Liujiang)県を流れる龍江の上流で複数の企業が大量のカドミウムを投棄していたことが明るみに出、400万人の生活に影響を及ぼした。その数週間後、今度は中国で最裕福な地域の1つ、浙江(Zhejiang)省の長江(Yangtze)で酸性物質が流出する事故が発生し、鎮江(Zhenjiang)で水道水からにおいがすると住民がパニックを起こした。

 こうした騒ぎのたびにスーパーではペットボトル入り飲料水が売り切れるが、しかし消費者の多くは店の棚に並んだボトル水の安全性についても疑問視している。中国当局は前年、安全基準を満たしていないとしてボトル水31ブランドの販売を停止したばかりだ。その多くは基準の数百倍ものバクテリアが混入しており、中には9000倍という例もあった。

   「認定オーガニック食品」と銘打たれた食品も、事情は同じだ。中流階級の消費者が、食品に危険なレベルの殺虫剤が含まれていないとの確証を求める傾向が加速する中、オーガニック食品市場はここ数年、4倍以上の急成長を見せている。

 国営食品会社に勤めていた経験を生かして、その実態についての書籍を出版した高智勇(Gao Zhiyong)さんは、食の安全に確信が持てる中国人は、特別な農家から食品を調達している当局トップ指導者層だけだろうと語る。

 中国環境保護省は前年11月、中国の農業用地の1割が、汚染水や廃棄物によって危険なレベルの重金属に汚染されていると発表した。

   「テレビや映画の検閲をする奴らが食品を管理して、食品や医薬品を管理する奴らが映画の検閲をすればいいのに。そうすれば中国人は安全な食品を食べられるようになり、未編集の映画も見られるようになる」。マイクロブログ「新浪微博(Sina Weibo)」には、こんな皮肉も書き込まれている。(c)AFP/Boris Cambreleng

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・この記事は、AFPのブログ「Geopolitics」内の特集「Living with Fear(恐怖とともに生きる)」に掲載されたシリーズです。