【3月5日 AFP】27日間にわたって政府軍による激しい砲撃に抵抗した末、中部ホムス(Homs)のババアムル(Baba Amr)地区から「戦略的撤退」をした反体制派の自由シリア軍(Free Syrian Army、FSA)。政府軍を離反したリヤド・アサド(Riyadh al-Asaad)大佐によって率られたFSAは、数千人規模の戦闘員を抱えるものの、いまだに統率は乱れ、政府軍の地上部隊による猛攻に対抗するだけの火力は有していなかった。

■離反兵士らで結成、戦闘員2~4万か 経験は浅い

 前年7月、アサド大佐はシリア政府による反体制デモ弾圧に抗議して、軍からの離反を発表。同大佐率いるFSAは、トルコ国境に近い北西部イドリブ(Idlib)地区や中部ホムス、南部ダルアー(Daraa)などで政府軍との戦闘を開始した。

 8月末には、シリア軍で初めて政府に抗議して離反兵士となったフセイン・ハルムシュ(Hussein Harmush)大佐率いる自由将校旅団(Free Officers Brigade)と合流した。ハルムシュ大佐の下には多くの離反兵士が集まっていたが、同大佐はその後政府側に拘束され、現在は生死不明だ。

 FSAの正確な構成人数は特定困難だが、アサド大佐が前年11月にAFPの取材に語ったところでは、およそ2万人。4万人の戦闘員がいると主張する離反将校もいる。ただし多くは戦闘経験が浅く、率いるアサド大佐本人もまた、かつては軍のIT部門に所属していて戦闘経験はなかった。

 対する政府軍は、シリア政権に忠誠を誓う14万~16万の熟練兵士を有し、強力な迫撃砲や戦車、ヘリコプターを配備している。

■クウェートなどが武器供与を表明

 シリア全土に散った部隊を統率することの困難さに加え、FSAには政府軍の戦車に対抗できる重火器も不足している。だがシリア国内でAFPの取材に応じた一部のFSA戦闘員らは、間もなく地対空ミサイルと対戦車ミサイルが外国から届くと語り、この動きを阻止するため政府軍がバハアムルを制圧し、レバノンとの国境を封鎖したのだとの見方を示している。

 反体制勢力の全国組織「シリア国民評議会(Syrian National CouncilSNC)」は先に、反体制派戦闘員に武器を供給するための「軍事事務所」の設立を発表。既にカタールなど複数の国が武器供与に前向きな姿勢を表明。クウェート議会はシリア反体制派への武器供与を求める決議を採択した。

 今年2月には、離反兵として過去最高位のムスタファ・シェイク(Mustafa Al-Sheikh)大将が新組織「高等革命評議会(Higher Revolutionary Council)」を設立。SNCによると、FSAとともに新設される「軍事事務所」の監督下に入るという。(c)AFP