【2月21日 AFP】2言語以上が話される家庭で育つ赤ちゃんは、1言語の家庭よりも言葉を話し始めるのが遅いことがあるが、この原因がわからずに親たちは困惑することがある。

 一般通念としては、子どもたちが混乱してしまうために話し始めるのが遅くなるという考え方がある。一方で、子どもたちは素早く容易に複数の言語を習得する能力がある「小さな天才たち」なので、話し始めるのが遅く感じるのは、ただの思いこみだという話を聞くこともある。

 だが、米心理学者のエリカ・ホフ(Erika Hoff)氏は、「どちらの見方も誤っている」と、カナダのバンクーバー(Vancouver)で開かれた米国科学振興協会(American Association for the Advancement of ScienceAAAS)のカンファレンスで語った。

 ホフ氏は、バイリンガルの子どもたちの言語習得レベルは2つの言語のそれぞれの試験結果をあわせると、単一の言語を学んでいる子どもと同じになることが分かったと述べ、子どもたちを1言語の能力だけで評価するのではなく、両方の言語をあわせた能力で評価すべきだと提言した。

「2つの言語にさらされている子どもは、1つの言語だけを聴く子どもと比べて、それぞれの言語を聴く量が減る。そのため、それぞれの言語の修得度をそれぞれ高めるための時間がかかる」とホフ氏は語った。

■ことばの遅い子、不安なら昔からの検査方法を

 言語の発達を測定する検査には、過去数十年にわたって2種類の検査があった。LDSLanguage Development Survey)とマッカーサー乳幼児言語発達質問紙(MacArthur Bates Communicative Development Inventory)と呼ばれるこの2つの検査は、両親に対して、2歳前後の子どもがどれだけの単語を知っているかを質問する検査だ。

 両親に質問するタイプのこれら検査方法は精度が低いように思われがちだが、専門家らによるとその精度は高い。特に、話し始めるのが遅い子どもを生後24~30か月の時点で特定するのに非常に効果があるという。子どもが話し始めるのが遅いかどうかを知ることは、自閉症や聴覚障害、精神障害などの子どもの疾患の早期発見に役立つと専門家は述べる。

 バイリンガルな子どもについては、ホフ氏は、片方の言語の検査結果が悪いことに落胆せずに、子どもの能力を十分に把握するために、両方の言語の検査を行うことを推奨している。(c)AFP/Kerry Sheridan