【10月21日 AFP】携帯電話の使用に関する史上最大規模の研究で、携帯電話の長期使用と脳腫瘍リスクの増加の間に関連性は見られなかったとする論文が、21日の英医学誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(British Medical JournalBMJ)」に掲載された。

 携帯電話の使用と脳腫瘍に関するこれまでの研究は、長期的データが欠如していたこともあり、不確実性が高かった。

 世界保健機関(World Health OrganizationWHO)の国際がん研究機関(International Agency for Research on CancerIARC)は今年6月、携帯電話で生じる高周波電磁場が「がんを誘発する可能性がある」と発表している。

■極端なヘビーユーザーでは危険性排除できず

 デンマークがん学会(Danish Cancer Society)のパトリツィア・フライ(Patrizia Frei)研究員らのチームは、同国で携帯電話に加入している成人35万8403人と加入していない成人で脳腫瘍リスクを比較した以前の研究の追跡調査を行った。

 1990~2007年の18年間の健康記録を調べたところ、中枢神経系に腫瘍が見つかったのは全部で1万729人だったが、携帯電話の使用歴が13年以上のグループと非加入者の脳腫瘍の発症率はほぼ同じだった。

 論文は「追跡期間の延長により、携帯電話を10年以上使用している人への影響を探ることができた。携帯電話の長期使用はがんリスクの増加には結びつかないことが分かった」と結論付けている。

 ただし研究は、使用歴15年以上のユーザー、もしくは「極端なヘビーユーザー」では、脳腫瘍リスクが小~中程度増加する可能性については排除することができなかった。

 解説記事で、スウェーデンのカロリンスカ研究所(Karolinska Institute)のアンデシュ・アルボム(Anders Ahlbom)氏らは、今回の結果は心強いとした上で、モニタリングを継続する必要があると述べている。(c)AFP

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