【6月18日 AFP】ドイツ・ベルリン動物園(Berlin Zoo)の人気者、ホッキョクグマのクヌートが深刻な精神疾患にかかっているとの調査結果を、国際動物愛護団体PETA(動物の倫理的扱いを求める人々の会)の科学者らが17日、発表した。

 PETAの研究者、フランク・アルブレヒト(Frank Albrecht)氏によると、クヌートとそのパートナー候補のジャンナ(Gianna)には明らかな行動障害が見られるという。クヌートにはパニック発作があり、体を左右に揺らす異常行動もあるとしている。

■75~90%のシロクマに精神疾患の傾向

 PETAは2年間にわたってドイツ国内の動物園で飼育されているホッキョクグマの状態を調べた。クヌートの疾患は氷山の一角にすぎず、国内で飼育中の34頭の75~90%に精神的に不安定な症状が見られるという。症状は、新しい大きな飼育施設のホッキョクグマに顕著だという。

 また、飼育下にあるホッキョクグマの出生率が低下していること、生まれた子グマの死亡率も「非常に高い」こと、野生のホッキョクグマの寿命が15~18歳なのに対し動物園では15歳未満の死亡が75%に上ることなども指摘された。

 PETAは「(飼育下にあるホッキョクグマの)繁殖をすぐに中止し、長期的にはドイツ国内でホッキョクグマの飼育を止めるよう呼びかけたい」としている。

 クヌートは2007年、「キュートなクヌート(かわいらしいクヌート)」として一斉を風靡(ふうび)した。一般公開時には世界中からカメラマン100人が集まったほか、米誌『ヴァニティ・フェア(Vanity Fair)』の表紙も飾った。ベルリン動物園では関連商品の販売や、特別入場料で数百万ユーロの売上があった。(c)AFP