【6月4日 AFP】第2次世界大戦中に英国首相だったウィンストン・チャーチル(Winston Churchill)の手帳や手紙、未開封の葉巻などの遺品が2日、ロンドン(London)のクリスティーズ(Christie's)で競売にかけられ、総額57万7063ポンド(約7800万円)で落札された。

 これらは米国の出版王スティーブ・フォーブス(Steve Forbes)氏が収集したコレクションの一部で、個人が収集したチャーチルの遺品コレクションの中でも最も重要といわれるもの。

 中でも注目はチャーチルのトレードマークである勝利(Victory)を表すVサインのVが施された1963年製の未開封のハバナ産葉巻で、2125ポンド(約29万円)で落札された。これは、モナコ・モンテカルロ(Monte Carlo)にあるオテル・ド・パリ(Hotel de Paris)でチャーチルが食事をした際に同席した友人がもらったものとされ、予想落札価格は1500ポンド(約20万円)だった。

 側近から送られたドイツとの和解を勧める書簡と、それに対しチャーチルが「返却する。燃やして忘れた方がいい」と記した手紙は、予想の4倍の3万4850ポンド(約471万円)で売れた。

 しかし、当時のフランクリン・ルーズベルト(Franklin Roosevelt)米大統領、ソ連の最高指導者ヨシフ・スターリン(Joseph Stalin)、現エリザベス女王(Queen Elizabeth II)の父である英国王キングジョージ6世(George VI)などとの会見に関するメモなどが書き込まれ、12万ポンド(約1600万円)相当の価値があるとみられた第2次大戦中の1939~45年までの手帳は競売取り下げとなり、このため落札総額は当初見込まれた100万ポンドに遠く及ばない結果となった。

 クリスティーズ・ロンドンの古文書担当ディレクター、トーマス・ベニングス(Thomas Venning)氏は競売前、「チャーチルの個性や性格、鋭いウイット、際立った言葉使いを知ることができる魅惑的なコレクションだ」と解説していた。

 クリスティーズではチャーチルの遺品コレクション競売の第2回目をニューヨークで12月に、第3回目を2011年に再びロンドンで予定している。(c)AFP