【3月24日 AFP】スイスの時計メーカー「Artya」のイバン・アルパ(Yvan Arpa)氏は、これまで、本物の月の砂や沈没した豪華客船「タイタニック(Titanic)」号から回収された部品を使用した腕時計を製作してきた。最新作では、さらに一歩踏み込んで、文字盤に恐竜の糞(ふん)石を利用した。  

 スイス・バーゼル(Basel)で開催中の時計・宝飾品の国際見本市「バーゼルワールド(Baselworld)2010」で、アルパ氏はAFPの取材に「わたしは、高貴ではない材料を高貴なものに変えることが好きなのです」と答えた。  

 糞石の腕時計は、ベルトにヒキガエルの皮を使用し、お値段は1万2000スイスフラン(約100万円)。アルパ氏によると、それぞれが歴史の断片を刻み込んだ「唯一無二の」作品ゆえ、「正当な値段」だという。  

 アルパ氏は、自身の時計作りへの態度は「コンテンポラリーアートに非常に近い」と語った。ひたすら精密さが求められるスイスの時計産業のなかにあって、最初に製作した時計は「時を告げない時計」だった。現在が昼か夜かを告げるだけのもので、値段は30万スイスフラン(約2600万円)だったという。  

 アルパ氏と同じくスイス時計業界で、「ルイ・モネ(Louis Moinet)」ブランドを展開するジャン・マリ・シャラー(Jean-Marie Schaller)氏も、差別化を図るため、珍しい素材に着目した。    

 ほかのブランドが高純度のダイヤモンドや希少なサファイアといった材料を追求するなか、シャラー氏はこれまで、火星のいん石や、45億6000万年前と太陽系内で史上最古の岩石とされるいん石などを使用してきた。  

 今年発表した最新作は、北米大陸西部で見つかった1億5000万年前のものと考えられる草食動物の骨の破片を使用した限定版だ。(c)AFP/Hui Min Neo