【ロサンゼルス/米国 12日 AFP】マイケル・ムーア(Michael Moore)監督が11日、新作映画のためのキューバへの渡航に対する米国政府の調査に激しく抗議した。

 ムーア監督は、映画『シッコ(Sicko)』の撮影で、9.11同時多発テロで救出活動にあたった救助隊員をキューバに連れて行き、医師の治療を受けさせたとし、財務省の調査の対象となっている。これが対キューバ禁輸政策に抵触した恐れがあるという。

 この件に関しムーア監督は、政略的調査の被害者であると話している。

「調査を行うというこの決定は、ブッシュ政権が未熟で鈍感で政治的な目的のための連邦政府を悪用している最近の例を象徴している」と自身のホームページにコメントを寄せている。

「ブッシュ政権のこの調査は、政治的に利用されているものだと結論づけざるをえない理由がたくさんある」

 またムーア監督は5月16日~27日に開催される第60回カンヌ国際映画祭(60th Cannes Film Festival)で同作品のプレミア上映会を、また全米での公開を約1か月後に控えたこの時期の調査に対し驚きを隠せない。関係当局は2006年10月からキューバ行きのことを知っていたのだとういう。

 ムーア監督は「私はブッシュ政権がすぐにこの調査をやめること、また調査への時間や資金を9.11の本当のヒーローたちをサポートするために充てることを要求する」と最後に締めくくっている。

 ブッシュ政権は2004年のドキュメンタリー映画『華氏911(Fahrenheit 9/11)』に代表されるように度々ムーア監督の標的となっている。

 また2003年にイラク戦争が開戦された数日後に行われたアカデミー賞での受賞スピーチで、ブッシュ大統領を批判したことでも有名である。

 写真は、第57回カンヌ国際映画祭(57th Cannes Film Festival)でパルム・ドールを持ち上映会に参加したムーア監督(2004年5月23日撮影)。(c)AFP/BORIS HORVAT