【アンカラ/トルコ 30日 AFP】大統領選挙をめぐり軍と政府の間の緊張が高まるトルコで30日、株価が8%下落、トルコリラも下落した。

 国是である政教分離を脅かす今回の大統領選挙による政治的混乱への懸念が、市場にも伝わったかたちだ。とはいえ、アブドルラティフ・シェネル(Abdullatif Sener)副首相兼国務相が「市場動向を注視していくが、経済システムは安定している」と述べたように、株価は午後にはある程度の回復をみせている。

 一方、最大野党、共和人民党(Republican People’s Party、CHP)は、27日の第1回投票実施直後、今回の選挙自体が無効だとして憲法裁判所に申し立てを行っている。

 CHPの申し立ては、議会(550議席)の3分の2(367)が投票に参加しない選挙は無効というもの。第1回投票では、野党議員らが投票をボイコットしたため、与党、公正発展党(Justice and Development Party、AKP)が擁立するアブドラ・ギュル(Abdullah Gul)外相の得票数は規定の3分の2に届かなかった。CHPの申し立てを受けた憲法裁判所は、第2回投票が行われる5月2日よりも前に、裁定を下す見通しだ。

 今回の大統領選挙が無効との裁定が下った場合、45-90日以内に総選挙が繰り上げ実施されることになる。

 大統領選が有効との裁定が下れば、予定通り2日に第2回投票が実施される。ただし、第2回投票でも得票数規定は3分の2のため、ギュル大統領誕生は、得票数規定が単純過半数(276)となる第3回投票(5月9日)まで見送られる。第1回投票では、ギュル外相は357票を獲得した。そのうち352票が、AKPによる票だった。

 国内では29日、100万人を超える市民がイスラムの伝統を尊重するAKPからの大統領選出に反対して、大規模なデモを実施した。ギュル外相はこうした騒動を受け、「出馬辞退はありえない。出馬は熟考の末の決断だ。憲法裁判所の正しい裁定を待ちたい」」との声明を発表している。

 写真は同日、両替所でトルコリラを数える男性。(c)AFP/MUSTAFA OZER