【北京/中国 11日 AFP】3000人の代表が集まる全国人民代表大会(National People's Congress)において、全体の議題といえるのが、「13億人の人民の所得問題」である。これまで経済問題が全人代で取り上げられなかったことはなかったが、2007年の全人代では、例年になくこの問題が重視されている。

■市場経済に移行しつつある今、

 行政学が専門の中国人民大学Zhang Xin教授は、「中国は、今、市場経済に移行しつつある最中だ。それゆえ多くの難題に直面している」と指摘。「中国は世界第4位の経済規模を誇り、2けた成長を続ける中国経済は、世界ランキングでどんどん上位に上がっている。しかし、一方で格差が拡大し、社会の二極化が起きている」という。

 評論家らは、「このような二極化の流れを食止めるために、法律が有効な範囲は限られるが、それでも、今後の全人代では、貧富の拡大を食い止めるための取り組みが行われることになる」と分析する。

 全人代で代表より、再度の審議が行われ末、最終的には通過が予想される「財産法案」と「法人税法案」には、「人民の平等」への努力と配慮が見て取れる。

■賛否両論が激しく対立する「財産法」

 国有財産と私有財産の平等な保護を規定する財産法は、最も賛否両論が分かれている。

 財産法の反対者は、「国有財産の価値を下げ、中国は公式には共産主義社会である」と主張。これに対し財産法の提案者らは「市場経済が急激に発展するいま、財産法は必要不可欠だ」と説明している。

 全人代が始まり、これまでになく複雑な経済関連法案の成立が求められるなか、アナリストらは、議員らの専門知識の欠如に懸念を抱いている。

 全人代は、年に1度だけ開催される。

写真は5日、全人代で演説を行う温家宝(Wen Jiabao)首相。(c)AFP/TEH ENG KOON