チャベス大統領、石油、電力産業の再国有化を表明 - ベネズエラ
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【カラカス/ベネズエラ 8日 AFP】昨年12月の選挙で3選を果たした反米強硬左派のウゴ・チャベス(Hugo Chavez)大統領が8日、エネルギー、通信などの基幹産業を国営化する考えを明らかにした。同大統領は議会での宣誓式で「石油、電力、通信産業などの国営化権限を大統領に与える」とする法案を提出すると発表した。
また、社会主義国家建設を目指し「憲法の徹底改革」を行うと宣言、1999年制定の憲法による現在の正式国名「ベネズエラ・ボリバル共和国(the Bolivarian Republic of Venezuela)」を「ベネズエラ社会主義共和国(the Socialist Republic of Venezuela)」に改名する意欲を示した。
■重油産業を「取り戻す」
同大統領が「ベネズエラの『革命法』の根幹を成すもの」と位置づける新法案は、東部オリノコ(Orinoco)地域で重油精製を行う海外企業の活動停止の大統領権限も含む。理由についてチャベス大統領は、「海外企業が独占しているオリノコ地域の重油産業を、ベネズエラ人の手に取り戻さなければならない」と述べた。しかし、改革の詳細は明らかにしていない。
原油は、ベネズエラの主要な収入源である。しかし、その精製は主に米国企業などの外国企業に頼っているのが実情だ。
ベネズエラ政府は2006年初頭から、ベネズエラ国営石油公社(PDVSA)が米石油大手シェブロンテキサコ(Chevron and Texaco)やフランスのトタル(Total)などの海外企業と締結している重油精製契約の見直しを行っている
■土地改革もさらなる大規模展開の方針
一方、ベネズエラ中央銀行(Central bank)について、チャベス大統領は「新自由主義」のもとでは「(政府からの)自立組織ではない」との見解を示した。ベネズエラ政府は先週、中央銀行が保有する外貨準備370億ドル(約4兆4000億円)から70億ドル(約8300億円)を国土開発、社会主義改革費用に引き当てている。
ベネズエラ議会は、2001年11月、政府による未使用大土地の強制収用を可能とした「土地改革法」を制定した。「土地改革法」の制定は経済界などの反発を招きゼネストに発展、政情不安を招いた経緯があるが、同大統領は「もし、2001年の時点で十分な経済、社会改革を導入していたなら、ベネズエラ経済は現在、もっと向上していたはずだ」と述べ、新法によりさらに大規模な土地改革を行う決意を表明した。
チャベス大統領は、特に農業改革、インフラ整備、住宅供給を早急に進めると宣言、法案の成立には「1年もあれば十分だ」とし、その他にも経済や社会保障改革も行うとした。現在のベネズエラ議会は、2005年12月の議会選挙を野党がボイコットしたことからチャベス派が過半数を占めており、新法案の成立は濃厚とみられる。
■民間通信企業の株式はメキシコ人実業家の手に
同国の電力産業は、民間のElectricidad de Caracasが管理する首都カラカス(Caracas)を除いた全地域を国営電力開発公社(CADAFE)が管轄している。
一方、固定電話および移動通信サービスは1991年に民営化されたCANTVが独占しているが、同社の主要株主である米通信大手、ベライゾン・コミュニケーションズ(Verizon Communications)は、同社保有分株式をメキシコの有力実業家、カルロス・スリム(Carlos Slim)が所有する通信会社に売却している。
写真はカラカスで8日、新内閣発足に伴い宣誓するチャベス大統領(左)。(c)AFP/Juan BARRETO
また、社会主義国家建設を目指し「憲法の徹底改革」を行うと宣言、1999年制定の憲法による現在の正式国名「ベネズエラ・ボリバル共和国(the Bolivarian Republic of Venezuela)」を「ベネズエラ社会主義共和国(the Socialist Republic of Venezuela)」に改名する意欲を示した。
■重油産業を「取り戻す」
同大統領が「ベネズエラの『革命法』の根幹を成すもの」と位置づける新法案は、東部オリノコ(Orinoco)地域で重油精製を行う海外企業の活動停止の大統領権限も含む。理由についてチャベス大統領は、「海外企業が独占しているオリノコ地域の重油産業を、ベネズエラ人の手に取り戻さなければならない」と述べた。しかし、改革の詳細は明らかにしていない。
原油は、ベネズエラの主要な収入源である。しかし、その精製は主に米国企業などの外国企業に頼っているのが実情だ。
ベネズエラ政府は2006年初頭から、ベネズエラ国営石油公社(PDVSA)が米石油大手シェブロンテキサコ(Chevron and Texaco)やフランスのトタル(Total)などの海外企業と締結している重油精製契約の見直しを行っている
■土地改革もさらなる大規模展開の方針
一方、ベネズエラ中央銀行(Central bank)について、チャベス大統領は「新自由主義」のもとでは「(政府からの)自立組織ではない」との見解を示した。ベネズエラ政府は先週、中央銀行が保有する外貨準備370億ドル(約4兆4000億円)から70億ドル(約8300億円)を国土開発、社会主義改革費用に引き当てている。
ベネズエラ議会は、2001年11月、政府による未使用大土地の強制収用を可能とした「土地改革法」を制定した。「土地改革法」の制定は経済界などの反発を招きゼネストに発展、政情不安を招いた経緯があるが、同大統領は「もし、2001年の時点で十分な経済、社会改革を導入していたなら、ベネズエラ経済は現在、もっと向上していたはずだ」と述べ、新法によりさらに大規模な土地改革を行う決意を表明した。
チャベス大統領は、特に農業改革、インフラ整備、住宅供給を早急に進めると宣言、法案の成立には「1年もあれば十分だ」とし、その他にも経済や社会保障改革も行うとした。現在のベネズエラ議会は、2005年12月の議会選挙を野党がボイコットしたことからチャベス派が過半数を占めており、新法案の成立は濃厚とみられる。
■民間通信企業の株式はメキシコ人実業家の手に
同国の電力産業は、民間のElectricidad de Caracasが管理する首都カラカス(Caracas)を除いた全地域を国営電力開発公社(CADAFE)が管轄している。
一方、固定電話および移動通信サービスは1991年に民営化されたCANTVが独占しているが、同社の主要株主である米通信大手、ベライゾン・コミュニケーションズ(Verizon Communications)は、同社保有分株式をメキシコの有力実業家、カルロス・スリム(Carlos Slim)が所有する通信会社に売却している。
写真はカラカスで8日、新内閣発足に伴い宣誓するチャベス大統領(左)。(c)AFP/Juan BARRETO