【6月5日 AFP】フランスは4日、シリアのバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)政権が化学兵器サリンを使用した証拠を入手したと発表した。これを受け、軍事介入も含む「あらゆる選択肢」を検討しているとも表明している。

 ローラン・ファビウス(Laurent Fabius)仏外相はテレビ放送された発言の中で、シリア国内で採取された血液と髪をフランスの研究所で検査した結果、サリンの使用が示されたことに言及し、「サリンガスが使用されていることについては疑いの余地がなくなった。研究所での検査で、明らかな結果が出た」と述べた。

 シリアで化学兵器が使われたことを確認したと発表した国は、フランスが初めて。またファビウス外相は、サリンを使用しているのは「政権とその支持者ら」だとも付け加えた。

 さらに同外相は「一線を越えてしまったことは明白。今後の対応について他国と協議していく予定だ」とし、「軍事介入も含め、何らかの措置を講じるかどうか」を決定するための「あらゆる選択肢を考慮中だ」と話した。ただし、実際に軍事介入に踏み切るという決定には「まだ至っていない」としている。

 一方、米国のジェイ・カーニー(Jay Carney)大統領報道官は、シリアでのサリン使用を正式に認定するには、さらに多くの証拠を要すると述べた。

 シリアでの人権侵害を調査している国連(UN)の調査委員会は同日、ファビウス仏外相の発表に先立ち、シリアの政権側と反体制派の双方が化学兵器を使用したと信じるに足る「正当な根拠」があると発表している。同委員会がシリアで発生した数々の戦争犯罪をまとめたリストに化学兵器使用の疑いを追加したのは、2011年の委員会発足以降、初めて。(c)AFP/Abhik Kumar Chanda