【2月23日 AFP】国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(Human Rights WatchHRW)は21日、ソマリアのイスラム過激派組織アルシャバブ(Shebab)が、子どもたちを戦闘に送り出し、「捨て駒」にしていると発表した。
 
 米ニューヨーク(New York)に本部を置く同団体によると、アルシャバブは、10歳の子どもを戦闘に送り出したり、女児を誘拐して前線で戦う戦闘員の妻にしたり、子どもが紛争に巻き込まれないよう抵抗した親に目をつけて殺害した事例もあったという。過酷な訓練を経て前線に送られた子どもたちの中には、成人の兵士を守るために「捨て駒」として利用されることもあるとした。
 
 ヒューマン・ライツ・ウオッチによる現地での聞き取り調査で15歳のある少年は、「100人ほどの級友の中で、自分ともう1人だけが脱走し、残りは全員殺された」と語っている。また同団体は、「子どもの招集や誘拐を阻止しようとする家族、そして脱走を試みる子どもらが厳しい仕打ちを受け、時に殺されることさえある」と説明した。

 ソマリアの中部以南を広く支配しているアルシャバブは、2007年から西側諸国が支持する暫定政府と戦闘を続けている。首都モガディシオ(Mogadishu)には暫定政府を守るため、アフリカ連合(African UnionAU)の派遣部隊が駐屯している。首都では近年、激しい戦闘が続き、多数の民間人が犠牲になっている。

 ヒューマン・ライツ・ウオッチのザマ・カーセンネフ(Zama Coursen-Neff)氏は、暫定政府やその支持勢力の部隊も子どもを戦場に送り込んだり、アルシャバブの支持者とみられる子どもを拘束していると述べ、ソマリア暫定政府を支持する各国政府も、そうした行為は断固許されないという姿勢を明確にすべきだと述べた。(c)AFP