【3月8日 AFP】リビアのムーサ・クーサ(Mussa Kussa)対外連絡・国際協力書記(外相)はリビアの首都トリポリ(Tripoli)で会見し、欧米が「リビアを分断させる陰謀」を企てていると非難した。一方、米政府は、リビアの反体制派を支援すべきとの国内外からの圧力の高まりのなか、反乱勢力に武器を供与するのは時期尚早との姿勢を示している。

 クーサ外相は「フランス、英国、米国がリビア東部の離反者たちと接触をしていることは明白だ。リビアを分断させる陰謀があるということだ」と語った。

 これに先立ち、英国のウィリアム・ヘイグ(William Hague)外相は、「重大な誤解」によってリビア反体制勢力と接触するミッションに失敗した特殊部隊チームが一時拘束されたことを認めている。

■米政府、反体制派への武器供与に慎重姿勢

 米国は、リビアの最高指導者ムアマル・カダフィ(Moamer Kadhafi)大佐の打倒に向けた動きを加速すると同時に、より積極的に民間人を保護すべきだとの圧力を国内外から受けている。しかし、米政府は反体制派への武器供与について慎重な姿勢だ。

 米ホワイトハウス(White House)は反乱勢力への武器供与を検討していることを認めたが、実行するには時期尚早だと表明。また、ロバート・ゲーツ(Robert Gates)米国防長官は、リビアへの介入には国際的な承認が必要となるとの考えを示した。

■飛行禁止区域設定にロシアが慎重姿勢を示唆

 一方、英国とフランスが国連安全保障理事会(UN Security Council)決議に向けて準備しているリビア上空の飛行禁止区域設定に対しては、湾岸協力会議(Gulf Cooperation CouncilGCC)の6か国が支持を表明した。

 バーレーンやオマーンなど自国でも反政府デモを抱える国も参加するGCCは「国連安全保障理事会はリビア上空の飛行禁止区域設定を含め、民間人を保護するためのあらゆる方策をすべてとるべきだ」と支持を打ち出した。

 しかし、ロシアのセルゲイ・ラブロフ(Sergei Lavrov)外相が「リビアの人びとは自らの問題を自らの手で解決しなければならない」と述べており、安保理の拒否権を持つ常任理事国のロシアが、飛行禁止区域設定に反対する可能性を示唆している。(c)AFP/Antoine Lambroschini