【10月1日 AFP】ソマリア沖でロシアの戦車などの兵器を積載したウクライナの貨物船が海賊に乗っ取られた事件で、バーレーンに司令部を置く米海軍第5艦隊は9月30日、ミサイル駆逐艦ハワード(USS Howard)支援のため複数の艦艇とヘリコプターを海域に派遣したと述べた。ヘリコプターが乗っ取られた船の上空を旋回するなか、海賊との交渉が続いている。

 世界最大級の2か国の海軍が関与する乗っ取り事件で貨物船内の緊張が高まり、海賊が仲間割れして戦闘となり3人が死亡したとの報道もあるが、海賊の広報は船からの衛星電話でそのような報道は「プロパガンダ」だとして非難し、仲間内での戦闘や死者が出たことを否定。「われわれはこれまで通り団結している」と述べた。

 海賊はベリーズ船籍のFaina号をソマリアのインド洋沖の拠点に移動し、2000万ドル(約21億円)を要求している。広報は「身代金ではなくソマリア領海を違法に兵器を移送したことへの罰金だ」と述べた。

 米国防総省は、積荷の兵器によってこの地域が不安定化することをもっとも懸念している。またロシアが派遣したフリゲート艦の到着を待つ姿勢も示唆し、あくまで平和的解決を目指す姿勢を示した。艦船の派遣は兵器を持って海賊が逃亡することを阻止するためだと説明している。(c)AFP/Mustafa Haji Abdinur