【6月27日 AFP】テニスのウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon 2013)は26日、大会7度の優勝を誇るロジャー・フェデラー(Roger Federer、スイス)と2004年大会覇者のマリア・シャラポワ(Maria Sharapova、ロシア)が敗退し、上位シード選手の棄権が相次いだことで、大会にとっては「魔の水曜日」になった。

 前年王者で男子シングルス第3シードのフェデラーは、世界ランク116位のセルジ・スタホフスキ(Sergiy Stakhovsky、ウクライナ)に7-6、6-7、5-7、6-7で敗れ、最近10年間に出場した四大大会(グランドスラム)では最も早い2回戦敗退に終わった。

 一方、シャラポワは予選から本選出場を果たした世界ランク131位のミシェル・ラルシェル・デ・ブリート(Michelle Larcher de Brito、ポルトガル)に3-6、4-6で敗れた。

 今大会ではその2日前に、第5シードのラファエル・ナダル(Rafael Nadal、スペイン)が初戦で姿を消している。

 グラスコートの名門オールイングランド・ローンテニス・アンド・クローケー・クラブ(All England Lawn Tennis and Croquet Club)ではこの日、合計7選手が試合前、もしくは試合中にけがを理由に棄権した。

 故障に見舞われた選手には、女子世界ランク2位のビクトリア・アザレンカ(Victoria Azarenka、ベラルーシ)、男子第6シードのジョーウィルフリード・ツォンガ(Jo-Wilfried Tsonga、フランス)が含まれており、セレーナ・ウィリアムス(Serena Williams、米国)やアンディ・マレー(Andy Murray、英国)の優勝までの道のりを楽にしている。

■大会棄権選手がこの日だけで7人、グランドスラム史上初の出来事

 フェデラーはこれまで36大会連続でグランドスラム8強入りを果たしており、準々決勝まで進めなかったのは2004年の全仏オープン以来となった。

 また2回戦での敗戦は、1回戦でマリオ・アンチッチ(Mario Ancic)に敗れた2002年大会に次ぐ早期敗退となる。フェデラーはその翌年にも、全仏オープン1回戦でルイス・オルナ(Luis Horna)に敗れていた。

 試合に敗れたフェデラーは、「パニックに陥らず、練習を再開する。起きてはならないことが起きてしまったが、来年もまたここに戻ってくる」と述べた。

 第2コートでプレーしたシャラポワは、試合中に3度の転倒に見舞われ、休憩中には左臀部の治療を受けた。シャラポワは最後まで戦い切ったが、試合前と試合中を含めて棄権選手が一日に7人出たのはグランドスラム史上初の出来事だった。

 また、この日の試合で元世界ランク1位のカロリーネ・ボズニアツキ(Caroline Wozniacki、デンマーク)も足首を痛めており、チェコのペトラ・ツェトコフサ(Petra Cetkovska)を相手に黒星を喫した。

 シャラポワとボズニアツキが試合を途中で断念していれば、棄権者は一日で9人まで及んでいた可能性もある。

 試合中、コートが危険な状態にあると審判に抗議している姿がテレビ画面に映されていたシャラポワは、「これまでのキャリアを通じても、1試合で3回転んだのは初めてだと思う。だからちょっとおかしいなと思った」とコメントした。

「3度も膝をついて倒れたことが、何よりも状況を表している」

■棄権のアザレンカがコート批判も、大会運営側は否定

 今年の全豪オープン(Australian Open Tennis Tournament 2013)覇者で女子第2シードのアザレンカは、センターコートで予定されていたイタリアのフラビア・ペネッタ(Flavia Pennetta)との試合前に大会棄権を表明した。

 24日に行われた1回戦でポルトガルのマリア・ジョアン・ケレル(Maria Joao Koehler)に勝利したアザレンカだったが、試合中に泣いてしまうほど激しく転倒し、10分間の治療を受けていた。その後のMRI検査の結果、右膝の負傷を理由に棄権を余儀なくされた。

 ラトビアのエルネスツ・ガルビス(Ernests Gulbis)と対戦したツォンガは、第3セット終了後にひざの故障で途中リタイヤした。

 また、ナダルを初戦敗退に追いやったダルシ、男子第10シードのマリン・チリッチ(Marin Cilic、クロアチア)、女子ではカザフスタンのヤロスラーヴァ・シュウェドワ(Yaroslava Shvedova)が2回戦前に棄権。米国のジョン・アイズナー(John Isner)、チェコのラデク・ステパネク(Radek Stepanek)は試合途中で棄権した。

 アザレンカが1回戦で負傷した第1コートでは、同じ日にダルシがナダルから勝利を挙げた一戦で肩を負傷している。

 昨年までウィンブルドンで2大会連続4強入りを果たしていたアザレンカは、「あの日はコートの状態があまり良くなかった。対戦相手も2回転倒したし、私の転び方はひどかった。私たちの試合後も転倒者が出ていた」と振り返っている。

 しかし、クラブの広報担当者は、コートが危険な状態にあることを否定した。

「コートのサーフェスに問題があるとの指摘を受けているが、それが今回の状況を引き起こしている理由に当てはまるとは考えていない。多くの選手からコートは非常にいい状態だという称賛の声も届いている」

「コートの事前整備は細部にわたって例年と同じ基準で行っている。大会開始直後のサーフェスで芝が密生しているのは、選手なら理解しているはずだ」

(c)AFP/Dave JAMES