【8月28日 AFP】女子棒高跳びの女王エレーナ・イシンバエワ(Yelena Isinbayeva、ロシア)が27日、記録なしに終わった第12回世界陸上ベルリン大会(12th IAAF World Championships in Athletics Berlin)では「自信過剰」だったことを認めた。

 イシンバエワは前週閉幕した同大会の決勝ですべての試技に失敗し、金メダルはライバルのアンナ・ロゴフスカ(Anna Rogowska、ポーランド)が獲得した。

 五輪で金メダルを2度獲得している世界記録保持者のイシンバエワは、世界陸上3連覇を目指していたが、1回目の試技で4メートル75に失敗すると、続く2、3回目の試技では4メートル80をクリアすることができなかった。

 金メダルを獲得した北京五輪で5メートル05の世界記録を樹立しているイシンバエワは、世界陸上後の現在では合宿の様子が一変したことを認めている。

 イシンバエワは「ベルリンの後は少し気持ちを入れ替えた。今は世界記録ではなく、勝つことに集中している。以前は大口をたたき過ぎていた。今は口を閉ざし、すべてを胸の内にとどめておきたい。少し自信過剰だった。だから金メダルを取ることも、世界記録を出すことも簡単なことだと思っていた。トラックにいても、そこにいる気がしなかった。競技は私にとってとても簡単なことで、勝利には4メートル80で十分だと思っていた。でも集中力を欠き、リラックスし過ぎていた。すべてが悪い方向に転がった」と語っている。

 28日に開幕するゴールデン・リーグ2009(AF Golden League 2009)第5戦チューリヒ大会(Weltklasse Zurich)を控えるイシンバエワは「最大の失敗は自信過剰だったこと。自信を持ち過ぎた。このことはいつまでも忘れられないだろうけど、それは良いことだと思う。すべての大会、すべての勝利を大切にしなければならない。ベルリンの前までは、勝利を特別なことだと思っていなかった。皆がそれを期待していたし、何もないのと同然だった。この感情を覚えておきたい。これはスポーツであり、相手が誰であろうと、トラックに立てば自分が誰なのかを証明しなければならないということを覚えておくのは良いこと。このことは引退するまで心の中にあると思う」と語っている。

 ベルリンの悲劇の直後、イシンバエワは休養のためモナコの自宅に戻っている。

 イシンバエワは「コーチはショックだったと言った。彼は『どうしたんだ?技術も助走も良かった。体はそこにあったが、気持ちが抜け落ちていた』と言った。私たちはすべてを分析した。彼はとても落胆していたけど、今は未来へ前進しているし、将来的には今回のことも良かったと思える日が来るはず。すべてをやり直し、再び自分を証明しなければならない。敗れたことによって気持ちは大きく変わった。今はこれまで以上にこのスポーツを大事に思っている。敗戦は将来にとっては必要だった」と語っている。(c)AFP

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